会議で「部長、どちらで進めますか」と聞かれて全員の視線が自分に集まる。その場で決めきれずに持ち帰り決断力を鍛えないとまずいなと感じたことはありませんか?
採用・取引先の選定・設備投資。立場が上がるほど最後に決めるのは自分になりますよね。決めきれないたびに自分は度胸が足りないとかリーダーに向いていないとか、自分を責めてしまう人は多いんです。
でも決断力は生まれつきの度胸ではありません。
決断力は選ぶ・捨てる・引き受けるを繰り返した回数と、判断の引き出しの多さで育つ技術です。決めた理由と捨てた案を書き残すだけでも今日から鍛えられます。
この記事では決断力とは何か・判断力との違い・決断力がある人の5つの特徴と、管理職・経営者が仕事の中で決断力を鍛える5つの方法を紹介します。

判断の引き出しは自分の経験だけでなく、本や資料で読んだ他人の決断の事例でも増えていきます。私が教えている速読法GSRで要点を先につかんで読む量を増やすやり方は、下の無料の入門動画講座で先に確かめられます。
この記事の執筆・監修
浦地純也(しゃっく)
速読メソッド「GSR」講師 / 株式会社ManaBeラボ 代表取締役

- 株式会社ManaBeラボ代表取締役
- 中学校、高等学校理科教員免許
- 国際ジェネラティブチェンジ協会ジェネラティブトランス修了資格
- カリフォルニア大学発祥の心理学指導者資格
2013年、高知大学で理科教員免許を取得し、公立の高等学校で2年間理科教師として働く。その後速読に感銘を受け愛知県で速読教室と学習塾を開校。
その後、スタンフォード大学心理学博士のギリガン先生と出会い、「瞑想状態×速読」を用いた新しい速読メソッド【GSR(Generative Speed Reading)】をワールドクラスパートナーズ株式会社と開発。
2019年には、「人生を変える速読法 GSR」を出版。2025年までの10年間で44,000人以上への速読指導の実績。現在もオンラインで全国の人々へ向けて活動中。
決断力とは選んだ案以外を捨てて結果を引き受ける力

決断力とはいくつかの案の中から1つを選び、ほかの案を捨てて結果を引き受ける力です。
決断力と聞くと迷わずパッと決める度胸のようなものを思い浮かべますよね。でも中身を分けてみると誰でも練習できる3つの動作でできているんです。
決断力を作る3つの要素
決断力は選ぶ・捨てる・引き受けるの3つの動作でできています。
- 選ぶ:いくつかの案の中から1つに決める
- 捨てる:選ばなかった案を迷いの材料から外す
- 引き受ける:決めた結果に自分で責任を持つ
多くの人がつまずくのはじつは選ぶところではありません。選んだあとも捨てた案が気になって決め直したくなったり、結果を引き受けるのが怖くて選ぶ手前で止まったりするんです。
どの動作も度胸ではなく回数で上達します。3つに分けて考えると自分がどこで止まっているのかが見えてきます。
決断力と判断力の違い
判断力はどの案がよいかを見極める力で、決断力は見極めたうえで1つに踏み切る力です。
| 比べる点 | 判断力 | 決断力 |
|---|---|---|
| 何をする力か | 案を比べて、どれがよいかを見極める | 1つを選んでほかを捨て、実行に移す |
| 使うもの | 事実・データ・筋道 | 判断の結果に加えて、経験と覚悟 |
| 足りないとき | どれがよいのか分からない | 分かっているのに決めきれない |
よい案の見当はついているのに決められないなら、足りないのは判断力ではなく決断力のほうです。管理職の悩みはこちらのことが多いんですよね。反対にどの案がよいのか見極められないときは判断力を鍛える方法が役に立ちます。
決める前に情報を受け取って考えるまでの速さを上げる方法は頭の回転を速くする方法で紹介しています。
管理職・経営者に決断力が求められる理由

管理職や経営者に決断力が求められるのは自分が決めないと周りの仕事が止まり、しかも情報が全部そろう前に決める立場だからです。
担当者のころは迷ったら上司に相談できました。立場が上がるとその相談を受ける側に回ります。
決めないと部下の仕事が止まる
管理職が決めずにいるとその案件にかかわる部下全員の手が止まります。
部下は手元の作業を止めて待つか、決まらないまま見切りで進めてあとでやり直すかのどちらかになります。どちらを選んでもチーム全体の時間が失われてしまいます。
情報が全部そろう前に決める立場になる
立場が上がるほど情報が足りないまま決める場面が増えます。
新しい取引先との契約や社内でまだ誰もやったことのない取り組みには、正解が書かれた資料がありません。全部そろうのを待っていたら決めるべき時期のほうが先に過ぎてしまいます。
だから管理職や経営者には見極める力に加えて、足りない情報のまま踏み切る力が要るんです。
決めた理由がチームの判断基準になる
管理職が決めた理由は次から部下が自分で決めるときの基準になります。
今回は価格より納期を優先したと理由を添えて決めておけば、部下は似た案件で迷ったときに同じ考え方で決められます。
反対に理由を言わずに決めたり案件ごとに基準が変わったりすると、部下は毎回あなたに聞きに来るしかなくなります。決断力はチームが自分で動けるかどうかにまで響くんです。
しゃっく決めることが仕事の大半になったのに決め方を教わる機会はほとんどないんですよね。最初からうまくできなくて当然なんです。
決断力がある人の5つの特徴
決断力がある人は度胸がある人ではなく、決めるための習慣を持っている人です。
ここで紹介する5つの特徴はどれもあとから身につけられるものばかりです。
自分の判断基準を言葉にしている
決断力がある人は何を優先して決めるかを言葉にして持っています。
顧客との信頼を最優先にするとか迷ったら長く続けられるほうを選ぶとか、基準が言葉になっていると案が出そろった時点で進む方向が決まります。
基準が頭の中でぼんやりしたままだと案件のたびに一から悩むことになるんですよね。
選ばなかった案をきっぱり捨てられる
決断力がある人は決めたあとに選ばなかった案を蒸し返しません。
A社に決めたあとでやっぱりB社のほうがよかったかもと何度も考えていると、決めた案を進める力が弱まります。
捨てた案のことを考える時間は選んだ案をよくする時間に回したほうがいいんです。
決めた理由を相手に説明できる
決断力がある人はなぜその案にしたのかを短い言葉で説明できます。
説明できる決断なら部下も納得して動けます。自分でも理由を言えないまま決めた案は少し反対されただけで揺らぎやすいんですよね。


理由を一言で言える決断は時間がたって見直すときの手がかりにもなります。
決めたあとの修正をためらわない
決断力がある人は状況が変わったら決めた案を早めに直します。
一度決めたら変えないことが決断力だと思われがちですが、決めたことをやり抜くのとまずいと分かった案にしがみつくのは別のことです。
直すと決めるのも立派な決断なんです。
判断の引き出しが多い
決断力がある人は似た場面でどう決めてどうなったかの引き出しをたくさん持っています。
初めての案件でも前に見た似た例を思い出せれば、迷う時間がぐっと短くなります。
この引き出しには自分の経験だけでなく、人から聞いた話や本や資料で読んだ他人の経験も入っています。
決断力を鍛える5つの方法
決断力は毎日の決断を練習に変えることで鍛えられます。
特別な研修に出なくても仕事の中には決める場面がたくさんありますよね。その一つひとつを次の5つのやり方で練習に変えていきます。
| 鍛える方法 | 鍛えられる要素 | いつやるか |
|---|---|---|
| 小さな決断は人に聞く前に自分で決める | 選ぶ | 毎日の仕事の中で |
| 決めた理由と捨てた案を1行で書き残す | 捨てる | 決めた直後 |
| 決める前に失敗の理由を先に書き出す | 引き受ける | 大きな決断の前 |
| 決めた結果を1か月後に答え合わせする | 判断の引き出し | 決めてから1か月後 |
| 他人の決断の事例を読む | 判断の引き出し | 毎日の読む時間 |
目の前の案件をいますぐ速く決めたいときのルールは別の記事にまとめています。たとえば7割の情報で決める・決める期限を先に置くといったやり方です。
小さな決断は人に聞く前に自分で決める
決断力を鍛える第一歩は小さな決断を自分で決めきることです。
会議の進め方・資料の直し方・部下への返事の順番。こうした小さな決断は間違えてもすぐに取り返せます。
人に意見を聞くのはかまいません。ただ聞く前に自分ならこうすると1つ決めておくと、相手の考えとの違いがはっきり見えます。
この小さな選ぶ練習の回数が大きな決断で踏み切るときの土台になるんです。
決めた理由と捨てた案を1行で書き残す
決めたらその場で決めた理由と捨てた案を1行ずつ書き残します。


書く場所は手帳でもスマホのメモでもかまいません。理由を書くと判断基準が言葉になり、捨てた案を書くと迷いを頭の外に出せます。
あとで部下に説明するときもこのメモを見れば一言で伝えられます。



書いてみると自分が何を大事にして決めているのかが見えてきて、けっこう面白いですよ。
決める前に失敗の理由を先に書き出す
大きな決断の前はうまくいかなかったとしたら原因は何かを先に書き出します。
これはプレモーテムという方法で、心理学者のゲイリー・クラインが紹介しています(Harvard Business Review 2007年9月号)。
計画がすでに失敗したと仮定してその理由をチームで出し合います。
つまり決めたあとに起こりうる失敗を決める前に見える形にしておくわけです。


失敗の怖さがぼんやりしたままだと結果を引き受けるのが怖くて決められません。理由が書き出されていれば先に手を打てるものと受け入れるものに分けられるので、踏み切りやすくなるんです。
決めた結果を1か月後に答え合わせする
決めてから1か月ほどたったらメモと実際の結果を照らし合わせます。
見るのは結果がよかったか悪かったかだけではありません。理由に書いたことが当たっていたか・捨てた案のほうがよかった兆しはないかという、決め方のほうを見ます。


結果が悪くても決め方に筋が通っていれば、運が悪かっただけのこともあります。反対にたまたまうまくいった決断から雑な決め方を覚えてしまうこともあるんですよね。
答え合わせを続けると自分の決め方のクセが見えてきて、引き出しに入る経験の質が上がります。
他人の決断の事例を読んで引き出しを増やす
自分が経験できる決断の数には限りがあるので他人の決断の事例を読んで引き出しを増やします。
- 経営者の自伝やビジネス書
- 業界の事例を書いた記事
- 社内の過去の稟議書や議事録
どれも誰かがどんな情報で何を選び何を捨て、どうなったかの記録です。
読むときは自分ならどうするかを一度決めてから実際の結果を読みます。そうすれば自分では出会えない場面の決断を読んだ数だけ練習できるわけです。
判断の引き出しは読む量で増える
決断力の土台になる判断の引き出しは他人の経験を読む量で増やすのがいちばん早い方法です。
5つの方法のうち最初の4つは自分の決断を練習に変えるやり方でした。でも自分の決断の数はどうしても限られていますよね。そこで効いてくるのが5つ目の読むことなんです。
自分の経験だけでは引き出しが増えるのに時間がかかる
自分の経験だけで判断の引き出しを増やそうとすると何年もかかります。
採用や設備投資のような大きな決断は管理職でも年に何度もあるものではありません。1回の経験から学べることは大きくても、似た場面にまた出会うのは何年も先ということも多いんです。
本や資料で読む他人の経験なら1冊で何人分もの決断の場面に触れられます。忙しい経営者ほど本を読む時間を確保しているのは、この引き出しを増やすためでもあります。


読む量は読む速さで決まる
1日のうちに読める量は読む速さでほぼ決まります。
忙しい管理職が本や資料に使える時間は1日30分ほどという人も多いですよね。読む速さが2倍になれば同じ30分で読める事例も2倍になります。


反対に報告書やメールを1ページ目から一字一句読んでいると、仕事の資料だけで読む時間が尽きて引き出しを増やす読書までたどり着けません。
決断力を鍛えたいのに本を読む時間がない。この悩みの根っこは決断力ではなく読む速さにあるんです。



決断力そのものを鍛えようと力むより引き出しに入れる量を増やすほうが近道なんですよ。
読む量を増やす「速読法GSR」
読む量を増やすなら読み方そのものを変えるのが近道です。私はそのための読み方を速読法GSRとして教えています。
速読の講師がなぜ決断力の話をするのかというと、ここまで見てきた判断の引き出しを増やす作業がそのまま読むことだからです。
速読法GSRは要点を先につかむ読み方
速読法GSRは頭の中の音読を減らし、要点を先につかむ読み方を身につけるトレーニングです。
速読と聞くとページを飛ばして読む方法を想像しますよね。でもGSRは脳の使い方を変える読み方のトレーニングで、柱は次の3つです。
- 頭の中の音読を減らし文字を見て意味を取る読み方に慣れる
- 読む前に脳を落ち着いた集中状態に整える
- 読む目的を決めて目的に合う要点をつかんでから読む
GSRでは1冊を100%理解しようとせず、目的に合う要点をつかむことをゴールにします。決断の事例を読むなら誰が何を選び何を捨て、どうなったかを拾えば十分なわけです。
6週間で学ぶGSRオンラインマスタースクールは2026年4月時点で累計31期・1,215名が受講しています(PR TIMES 2026年4月8日)。
速読法GSRの受講生は判断の質が変わっている
速読法GSRの受講生からは読む量が増えたことで判断の質が上がったという声が届いています。
受講生のインタビューには工務店を経営する方の、週1冊の読書から毎日2冊読めるようになり判断の質も上がったという声もあります。


読書はとても苦手で、小学校の頃から諦めていました。今では毎日1冊10分を本を読み、SNSにアウトプットのための投稿をしています。このサイクルを365日継続することができ、とても自信がつきました。
読書をすることで、自分の経験や先入観のみで判断することがなくなり、考えの幅が広がった。
自分が毎日読書をすることで、娘が絵本を読むようになりました。今では娘も本が好きになり、本を通じた会話が家族内で増えたことで、家族関係が良くなった。


とにかく忙しい、時間がないという毎日でしたが、劇的な変化がありました。それは、残業時間が毎月95時間だったのが20時間に減ったことです!さらに、以前は子どもや職員にイライラしていましたが、今では緊急なことが起こっても冷静に対応することができています。
ギリギリまで寝て、チャッと水を飲み、朝マックをするのが私の日課でした(笑)。そんな毎日から、早起きをして・瞑想と読書をし・朝食を作る。さらに余った時間で1日の計画ができるようになりました。これは奇跡としか言いようがありません。
2人に共通するのは読む量が増えたことで、自分の経験や思い込みだけに頼らずに決められるようになった点です。引き出しが増えれば急なことが起きても落ち着いて選べるようになります。
決断力を本気で鍛えたいなら引き出しに入れる量を増やしてください。無料の入門動画講座で要点を先につかむ読み方を体験できます。動画を最後まで見ると通常5,000円のGSRオンライン体験会にも無料で参加できます。
決断力についてよくある質問
- 決断力がない人の特徴は何ですか?
-
判断基準を言葉にしていない・選ばなかった案を何度も考え直す・失敗の怖さがぼんやりしたままになっているの3つがよく見られます。性格ではなく決め方の習慣の問題なので、決めた理由と捨てた案を1行ずつ書き残すことから変えられます。
- 決断力は大人になってからでも鍛えられますか?
-
鍛えられます。決断力は選ぶ・捨てる・引き受けるを繰り返した回数と、判断の引き出しの多さで育つ技術です。40代・50代は仕事の経験という引き出しがすでにあるので、決め方を書き残して答え合わせする習慣を足すだけでも変わります。
- 決断力と判断力の違いは何ですか?
-
判断力はどの案がよいかを見極める力で、決断力は見極めたうえで1つを選びほかを捨てて実行に移す力です。よい案の見当はついているのに決めきれないなら、足りないのは決断力のほうです。
- 決断力を鍛えるのに本を読むのは効果がありますか?
-
効果があります。経営者の自伝やビジネス書・業界の事例には、他人がどんな情報で何を選びどうなったかが書かれています。自分ならどうするかを一度決めてから結果を読むと、自分では出会えない場面の決断を練習できます。
- 決断力がある人は直感で決めているのですか?
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直感で決めているように見えても、似た場面の引き出しから例をすばやく思い出していることが多いです。引き出しが多いほど迷う時間は短くなります。いきなり直感を鍛えようとせず、決めた結果の答え合わせと他人の事例を読むことで引き出しを増やしてください。
- 決められない状態がつらいときはどうすればいいですか?
-
まずは小さな決断から自分で決めて決めた理由を書き残してください。決められない状態が長く続き眠れない・気分が沈むなど生活に支障が出ているときは、ひとりで抱え込まずに医療機関に相談してください。
まとめ
決断力は生まれつきの度胸ではありません。選ぶ・捨てる・引き受けるを繰り返した回数と、判断の引き出しの多さで育つ技術です。
- 決断力は1つを選びほかを捨てて結果を引き受ける力。判断力は見極める力
- 管理職・経営者は決めないと周りが止まり、情報がそろう前に決める立場にある
- 決断力がある人は基準を言葉にし・捨てた案を蒸し返さず・理由を説明でき・修正をためらわず・引き出しが多い
- 鍛え方は自分で決める・理由と捨てた案を書く・失敗の理由を先に書く・答え合わせする・他人の決断を読むの5つ
そして引き出しを増やすための読む量は読む速さで決まります。
今日はまず次に決めた案件について、決めた理由と捨てた案を1行ずつ書いてみてください。それだけで自分の決め方が見え始めます。
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