異動や転職をしてから、仕事が覚えられないと悩んでいませんか?
新しいシステムの操作を教わったのに翌日にはもう手順が出てこないとか、同じことを年下の同僚に3回目も聞くのが気まずいとか、そんな毎日が続くとしんどいですよね。
40代・50代になると、年のせいかな、この仕事に向いていないのかなって、自分を責めちゃうんですよね。でも、その結論は間違っているんです。
仕事が覚えられないのは、記憶力が落ちたからではありません。経験が多いぶん前のやり方が新しいやり方の邪魔をすることと、覚える前に読むマニュアルやメールの量に頭が追いついていないことが大きいんです。
この記事では、仕事が覚えられない4つの原因と、異動・転職・新しいシステムの場面で新しい仕事を早く覚える4つのやり方を紹介します。
この記事の執筆・監修
浦地純也(しゃっく)
速読メソッド「GSR」講師 / 株式会社ManaBeラボ 代表取締役

- 株式会社ManaBeラボ代表取締役
- 中学校、高等学校理科教員免許
- 国際ジェネラティブチェンジ協会ジェネラティブトランス修了資格
- カリフォルニア大学発祥の心理学指導者資格
2013年、高知大学で理科教員免許を取得し、公立の高等学校で2年間理科教師として働く。その後速読に感銘を受け愛知県で速読教室と学習塾を開校。
その後、スタンフォード大学心理学博士のギリガン先生と出会い、「瞑想状態×速読」を用いた新しい速読メソッド【GSR(Generative Speed Reading)】をワールドクラスパートナーズ株式会社と開発。
2019年には、「人生を変える速読法 GSR」を出版。2025年までの10年間で44,000人以上への速読指導の実績。現在もオンラインで全国の人々へ向けて活動中。
40代・50代で仕事が覚えられないのは珍しくない
40代・50代で新しい職場に移ったあと、仕事がなかなか覚えられないのは珍しいことではありません。40代で転職した人の4割超が、仕事を覚えるまでに3か月〜半年かかっています。

まわりがすいすい覚えているように見えると、自分だけが取り残されている気がしますよね。でも、覚えるのに時間がかかるのは、新しい職場に移った人の多くが通る道なんです。
40代の転職者の4割超が覚えるまでに3か月〜半年かかる
ミドル・ハイクラス向けの転職サービスが利用者に聞いたアンケートがあります(マイナビスカウティング)。40代が仕事内容を覚えるのにかかった期間は、3か月〜半年程度という答えが43.8%でした。
年収600万円以上の、経験を積んだ人たちでもこの結果です。つまり、入って1か月で覚えきれないのは、能力が足りないからではないということです。
1か月目で焦っているなら、まだ覚えている途中にいるだけなんですよ。
しゃっく1か月たっても覚えられないと、もうダメだって思っちゃいますよね。でも、経験のある40代でも半年かかるのはふつうのことなんです。
異動・転職・新しいシステムで覚えることが一気に増える
40代・50代で仕事が覚えられないと感じるのは、たいてい異動・転職・新しいシステムの導入のどれかで、覚えることが一度に押し寄せてきたときです。
- 異動:部署の業務の流れ、新しい取引先や担当者の名前、部署ごとの決まりごと
- 転職:会社のルール、社内の言葉づかい、仕事の進め方、システム、人間関係
- 新しいシステム:画面の操作、入力の順番、前のシステムでできたことの代わりのやり方
若い頃の新人研修のように、覚える期間がきちんと用意されているわけでもありませんよね。目の前の仕事をこなしながら、すきまの時間で全部を覚えないといけないんです。
記憶力の衰えだけでは説明できない
年齢とともに記憶力がゆるやかに下がるのは事実ですが、それだけでは、いまの覚えられなさは説明できません。
前の職場では、何年も同じ仕事をこなしてきましたよね。手順も、人の名前も、例外の対応も、ちゃんと覚えていたはずです。
それなのに職場が変わったとたんに覚えられなくなったのなら、変わったのは記憶力ではなく、覚える状況のほうなんです。
なお、物忘れが急に強くなった、仕事や生活に支障が出ている、というときは、年齢による変化とは別の原因も考えられます。その場合は、ひとりで悩まずに医療機関に相談してください。
記憶そのものを鍛える方法は、こちらの記事にまとめています。


仕事以外の場面でも忘れっぽさが気になるなら、40代・50代の記憶力低下の原因を場面から見分ける方法も役に立ちます。
仕事が覚えられない4つの原因
仕事が覚えられない原因は、次の4つです。前のやり方が新しいやり方の邪魔をすること、全体の流れを知らないこと、読む量に頭が追いつかないこと、焦りで頭がいっぱいなことです。


どれも、あなたの頭の良し悪しではなく、新しい職場に移ったときの状況から起きています。1つずつ見ていきましょう。
前の職場のやり方が新しいやり方の邪魔をする
1つ目は、先に覚えている前のやり方が、新しく覚えたやり方を思い出しにくくしていることです。
アメリカの心理学者アンダーウッドは、それまでの記憶の実験をまとめて調べました(Underwood, 1957, Psychological Review)。
- 意味のない音のつづりのリストを1つだけ覚えた人は、24時間後に70〜80%を思い出せた
- その前に20のリストを覚えていた人は、24時間後に約20%しか思い出せなかった
つまり、忘れる原因は時間がたったことよりも、先に覚えていることの多さにあったということです。


仕事でも同じことが起きます。経費精算のシステムが変わったのに、手が前の画面の順番で動いてしまうとか、前の会社での呼び方がつい口から出てしまうとか、ありますよね。
40代・50代は、前のやり方を20年以上ためこんでいます。新しいことが入りにくいのは、覚える力が落ちたからではなく、それだけ経験を積んできたからなんです。



覚えられないのは、それだけ前の職場でちゃんと仕事を覚えてきた証拠なんですよ。自分を責める理由にはなりません。
全体の流れを知らないまま手順を覚えようとしている
2つ目は、仕事がどこから来てどこへ渡るのかを知らないまま、手順だけを覚えようとしていることです。
たとえば請求書の処理の手順を教わっても、その前に誰が発注して、誰が承認して、処理したあと誰に渡るのかを知らないと、ボタンを押す順番を丸ごと覚えるしかありません。
人の脳は、まず全体の形をつかんでから、細かいことをその中に当てはめて整理しています。
全体の形がないまま細かい手順を1つずつ入れていくと、頭の中の作業スペースが細かい情報でいっぱいになり、手順同士がつながらないまま抜けていくんです。
マニュアルやメールを読む量に処理が追いついていない
3つ目は、覚える前に読まなければいけないものが多すぎて、読んで理解する段階で時間と力を使い果たしていることです。
新しい職場の最初の数か月は、仕事を覚えるために読むものが一気に増えます。
- 業務マニュアルや社内の規程
- 前任者からの引き継ぎ資料や過去のメール
- システムの操作説明
- 社内チャットで毎日流れてくる連絡
これを最初の1文字から全部同じ重さで読んでいると、読み終えた頃には最初のほうを忘れています。まだ覚える前の、読んで受け取る段階で止まっているんですよね。
聞きにくさと焦りで頭がいっぱいになっている
4つ目は、早く覚えなきゃという焦りや、また聞いたら呆れられるかもという気持ちが、頭の作業スペースを使ってしまっていることです。
40代・50代で移ると、教えてくれる人が年下ということもよくありますよね。同じことを何度も聞くのが申し訳なくて、分からないまま進めてしまうこともあると思います。
不安なことや気がかりなことが頭に残っていると、そのぶん新しいことを置いておく場所が減ります。疲れや寝不足が続いている時期も同じです。
焦るほど覚えられなくなるのは、気持ちの弱さではなく、頭の中の場所が足りなくなっているからなんです。
新しい仕事を早く覚える4つのやり方
新しい仕事を早く覚えるには、4つの原因に合わせて、覚え方より先に受け取り方を変えます。
| 原因 | 新しい仕事を早く覚えるやり方 |
|---|---|
| 前のやり方が邪魔をする | 前とのちがいだけを書き出す |
| 全体の流れを知らない | 最初の1週間で仕事の流れを1枚にまとめる |
| 読む量に追いつかない | マニュアルは目次と見出しから読む |
| 聞きにくさと焦り | 聞くことは1日分まとめて聞く |
前とのちがいだけを書き出す
1つ目は、新しいやり方を全部覚え直そうとせず、前のやり方とちがうところだけを書き出すことです。
紙を3つの欄に分けて、前の職場、今の職場、同じところを書いていきます。


同じところは、あなたの経験がそのまま使えるので覚え直す必要はありません。覚えるのは、ちがうところだけです。
前のやり方が邪魔をするのは、2つのやり方が頭の中で混ざるからでした。ちがいを書き出しておくと、ここは前と逆だと区別がつくので、手が前の順番で動きにくくなります。
最初の1週間で仕事の流れを1枚にまとめる
2つ目は、最初の1週間のうちに、自分の仕事がどこから来てどこへ渡るのかを1枚の紙にまとめることです。
細かい手順は書かなくて大丈夫です。次の3つだけを、矢印でつないでいきます。
- この仕事は誰から、何を受け取って始まるか
- 自分は何をして、誰の確認を受けるか
- 終わったら誰に、何を渡すか
流れが1枚になっていると、新しく教わった手順を、これはこの矢印のところの話だと当てはめられます。教わったことがばらばらに散らばらず、つながって残るんです。
教わったことをその場で書き留めるメモの書き方は、こちらの記事で紹介しています。


マニュアルは目次と見出しから読む
3つ目は、分厚いマニュアルを1ページ目から読まず、目次と見出しで全体をつかんでから、今週使うところだけを読むことです。
- 目次と見出しを2〜3分で眺めて、何がどこに書いてあるかをつかむ
- 今週の仕事で使う章に印をつける
- 印をつけた章だけを、手を動かしながら読む
ほかの章は、必要になったときに目次から探せば十分です。全部を同じ重さで読まないので、読む量に押しつぶされずにすみます。
聞くことは1日分まとめて聞く
4つ目は、分からないことをその場でため込まず、1日分をリストにして決まった時間にまとめて聞くことです。
分からないことが出てきたら、すぐにリストに書きます。書いた時点で、忘れないように頭の中で持ち続ける必要がなくなり、目の前の仕事に戻れます。
夕方などに5分だけ時間をもらって、まとめて聞きましょう。教える側も、何度も手を止められるよりずっと答えやすいんですよ。



聞くのが申し訳ないと思うのは、まじめな人ほどなんですよね。まとめて聞けば、相手の時間も自分の頭の場所も守れます。
場面ごとに、最初に何から始めるかをまとめると次のとおりです。
| 場面 | 最初にやること |
|---|---|
| 異動 | 前の部署とのちがいを書き出し、部署の仕事の流れを1枚にする |
| 転職 | 仕事の流れを1枚にし、社内の言葉やルールのちがいを書き出す |
| 新しいシステム | 前のシステムとの操作のちがいを書き出し、マニュアルは目次から読む |
新しい仕事を早く覚えるなら読み方そのものを変える
新しい仕事をもっと早く覚えたいなら、1つずつの工夫より、読み方そのものを変えるのが近道です。新しい職場に移って最初に増えるのは、マニュアルやメールや資料を読む仕事だからです。
覚える前の読む段階で止まっている
4つの原因のうち、全体の流れを知らないことと、読む量に追いつかないことの2つは、覚える前の読んで受け取る段階で起きています。
1字ずつ全部を同じ重さで読む読み方のままだと、全体の流れが見えるまでに時間がかかります。そのあいだに次のメールや資料が届くので、いつまでも受け取る段階から抜け出せないんですよね。
紹介した4つのやり方は今日から効きます。でも、毎回意識して使わないといけないので、忙しい日ほど抜けてしまいます。
読み方そのものが変われば、意識しなくても、マニュアルにもメールにも引き継ぎ資料にも同じように効くようになります。
読む作業にどれだけ時間が消えているかは、こちらの記事でくわしく見ています。


速読法GSRは要点を先につかむ読み方を身につける
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速読と聞くと、ページを飛ばして読む方法を想像しますよね。でもGSRは、脳の使い方を変える読み方のトレーニングで、柱は次の3つです。
- 頭の中で1字ずつ声にする読み方を減らし、文字を見て意味を取る読み方に慣れる
- 読む前に、脳を落ち着いた集中状態に整える
- 全体と要点をつかんでから読み、読んだあとに要点を自分の言葉で取り出す


全体を先につかむ読み方は、新しい仕事の流れをつかむときにそのまま使えます。読んだあとに要点を自分の言葉で取り出すので、受け取ったことが覚える段階にきちんと渡るんです。
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速読で仕事を覚えるって、ピンとこないですよね。でも新しい職場の仕事は、半分以上が読んで受け取ることから始まるんです。
資料の見返しが減った受講生もいる
GSRの受講生には、資料を隅から隅まで見返していた読み方を変えて、要点をつかめるようになった方がいます。


読書した内容を「ただの思い出」に終わらせることなく、アウトプットまでできるようになりました。いまは、もっと読みたい!と好奇心が湧くようになり、読書をする時間も確保できています。
以前までは、ドラマの台本や映像を隅から隅まで見返し、とても時間がかかっていました。しかし、GSRをやってからは短い時間で要点を捉えるだけで周りからの質問にも答えられるようになった。
時間にゆとりができ心に余裕を持つことができました。
全部を見返さないと安心できない読み方は、新しい仕事を覚えようとしているときほど強く出ます。要点を先につかむ読み方に変わると、見返す時間が減り、そのぶん手を動かして覚える時間が増えるんです。
40代・50代から読み方を変えられるのかが気になる方は、こちらの記事も読んでみてください。


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仕事が覚えられないときによくある質問
- 40代で仕事が覚えられないのは年齢のせいですか?
-
年齢だけのせいではありません。記憶力は年齢とともにゆるやかに下がりますが、前の職場では仕事を覚えられていたはずです。40代・50代で覚えにくくなるのは、前のやり方が新しいやり方の邪魔をすることや、覚える前に読むマニュアル・メールの量が多いことが大きく関わっています。
- 転職して仕事を覚えるまで何か月かかるのが普通ですか?
-
40代では3か月〜半年ほどが目安です。ミドル・ハイクラス向けの転職サービスの利用者アンケートでは、40代が仕事内容を覚えるのにかかった期間は、3か月〜半年程度という答えが43.8%でした。1か月で覚えきれないのは珍しくありません。
- 仕事が覚えられない原因は何ですか?
-
主な原因は4つです。前の職場のやり方が新しいやり方の邪魔をすること、全体の流れを知らないまま手順を覚えようとしていること、マニュアルやメールを読む量に処理が追いつかないこと、聞きにくさと焦りで頭がいっぱいになっていることです。
- 新しいシステムの操作がなかなか覚えられません。どうすればいいですか?
-
前のシステムとの操作のちがいだけを書き出してください。同じところは経験がそのまま使えるので、覚えるのはちがうところだけです。マニュアルは1ページ目から読まず、目次と見出しで全体をつかんでから、今週使う章だけを手を動かしながら読みます。
- メモを取っても仕事が覚えられないのはなぜですか?
-
手順を書き留めていても、その仕事がどこから来てどこへ渡るのかという全体の流れがないと、手順同士がつながらないからです。最初の1週間で仕事の流れを1枚にまとめ、メモした手順をその流れの中に当てはめていくと、教わったことがつながって残ります。
- 異動して仕事が覚えられないときは、辞めたほうがいいですか?
-
すぐに決めなくて大丈夫です。経験のある40代でも、仕事を覚えるまでに3か月〜半年かかるのはふつうのことです。まずは前とのちがいを書き出す、仕事の流れを1枚にする、聞くことをまとめるなど、受け取り方を変えてから判断しても遅くありません。
この悩みの全体像は「頭の回転を速くする方法」にまとめています。あわせて「決断が遅いのは性格のせい?仕事で決められない5つの原因と速く決める5つの方法」「情報処理能力を鍛える方法」も読まれています。
まとめ
40代・50代で仕事が覚えられないのは、記憶力が落ちたからではありません。
- 40代の転職者の4割超は、仕事を覚えるまでに3か月〜半年かかっている
- 原因は、前のやり方の邪魔、全体の流れがないこと、読む量、聞きにくさと焦りの4つ
- 前とのちがいだけを書き出し、仕事の流れを1枚にし、マニュアルは目次から読み、聞くことはまとめて聞く
- 新しい職場で最初に増えるのは読む仕事なので、読み方を変えると覚える前の受け取りが楽になる
あなたが20年以上かけて積んできた経験は、ちがいだけを拾えば、新しい仕事の邪魔ではなく土台になります。
今日はまず、紙を3つの欄に分けて、前の職場と今の職場のちがいを3つだけ書き出してみてください。
そのうえで、マニュアルもメールも資料も、全体と要点を先につかんで受け取れるようになりたいと思ったら、迷わず無料の入門動画講座を受け取ってください。読み方が変われば、新しい仕事は今よりずっと早くあなたのものになります。













