記憶力を上げる7つの方法|今日から実践できる科学的アプローチ

記憶力を上げる7つの方法|今日から実践できる科学的アプローチ

勉強した内容が翌日には抜けている——そんな経験、ありませんか。

マーカーを引いて、付箋を貼って、読み返して。それでも次の日には大半が消えている。「私は記憶力が悪いんだ」と思い始めたら、むしろそこを疑ってほしいのです。

記憶力は生まれつきの才能ではありません。脳の仕組みに合った「覚え方の設計」さえ知れば、誰でも記憶の精度と量を変えることができます。

この記事では、科学的に効果が確認されている記憶力の高め方を、今日から使える形でまとめます。

ManaBeラボ 浦地純也
  • 株式会社ManaBeラボ代表取締役
  • 中学校、高等学校理科教員免許
  • 国際ジェネラティブチェンジ協会ジェネラティブトランス修了資格
  • カリフォルニア大学発祥の心理学指導者資格

2013年、高知大学で理科教員免許を取得し、公立の高等学校で2年間理科教師として働く。その後速読に感銘を受け愛知県で速読教室と学習塾を開校。

その後、スタンフォード大学心理学博士のギリガン先生と出会い、「瞑想状態×速読」を用いた新しい速読メソッド【GSR(Generative Speed Reading)】をワールドクラスパートナーズ株式会社と開発。

2019年には、「人生を変える速読法 GSR」を出版。2025年までの10年間で44,000人以上への速読指導の実績。現在もオンラインで全国の人々へ向けて活動中。

目次

記憶力は「才能」ではなく「やり方」で決まる

記憶力は「才能」ではなく「やり方」で決まる

まず知っておきたいのは、「覚えられない」の原因です。多くの場合、問題は記憶力そのものではなく、どこで記憶がつまずいているかにあります。

記憶には「記銘・保持・想起」の3段階がある

記憶はひとつの能力ではなく、3つの段階からなるプロセスです。

  • 記銘(覚える):情報を意味に変換して脳に取り込む段階
  • 保持(ためる):取り込んだ情報を脳内に保持し続ける段階
  • 想起(思い出す):必要なときに情報を引き出す段階

「覚えられない」といっても、記銘でつまずいているのか(そもそも脳に入っていない)、想起でつまずいているのか(入っているのに出てこない)では、対策がまったく違います。

注意が散漫なまま読んでいると、記銘すら起きていないことが多い。一方、「入れた知識が思い出せない」のは、想起の練習が不足しているケースが大半です。どこがボトルネックかを意識するだけで、やるべきことが変わります。

大人の記憶力低下は「衰え」より「使い方」の問題が大きい

「年を取ったから覚えられなくなった」という声をよく聞きます。確かに、暗記力や処理速度といった流動性知能は10代後半〜20代前半をピークに緩やかに低下します。

ただし、すべての記憶力が衰えるわけではありません。語彙力・理解力・洞察力といった結晶性知能は経験とともに伸び、語彙においては60代でピークを迎えるとも言われています。「もう歳だから」は、半分は思い込みです。

私自身も大学受験期に、1日10時間・付箋とマーカー中心で勉強し続けた時期がありました。懸命にやっていたつもりでも成績はほとんど上がらず、第4希望の大学に滑り込む結果でした。

後になって気づいたのは、問題は記憶力ではなく学習の設計にあったということ。覚え方を変えた途端に、同じ時間で定着量が変わりました。

記憶力を上げる7つの方法

記憶力を上げる7つの方法

では実際に何を変えればいいのか。科学的に支持されている方法を7つ紹介します。

①「思い出す」回数を増やす(テスト効果)

記憶を強くするうえで、最も効果が大きい方法が想起練習(テスト効果)です。

ワシントン大学のRoediger & Karpicke(2006)の研究では、学習後に「繰り返し読む」グループと「思い出すテストをする」グループを比較しました。数日〜数週間後の記憶テストでは、思い出す練習をしたグループの成績が有意に高かった。

記憶は「読んだ回数」より「思い出した回数」で決まります。

具体的には、ページを閉じて「さっき何が書いてあったか」を言葉にしてみる、紙に書き出す、声に出す——どれでも構いません。通勤電車の中で昨日読んだ内容を思い返すだけで、立派な想起練習になります。

②間隔をあけて復習する(分散学習)

同じ内容を1日でまとめて詰め込むより、間隔をあけて分散させた方が長期的な定着に有利です。これを分散学習といいます。

エビングハウスの忘却曲線(1880年代後半)が示しているのも、「人はすぐ忘れる」という事実だけではありません。曲線の本質は、復習のタイミングを分散させれば忘却を防げるという点にあります。

①の想起練習と組み合わせると効果がさらに上がります。「覚えた翌日に思い出す→1週間後にまた思い出す」を繰り返すと、同じ勉強時間でも長期記憶への定着が大幅に変わります。

③覚えたい情報を「意味づけ・関連づけ」する

脳はバラバラな情報より、意味のある情報の方が覚えやすくできています。

単語の羅列を丸暗記しようとするより、すでに知っている知識やイメージに結びつけた方が記憶に残りやすい。歴史の年号を語呂合わせで覚えるのも、同じ原理です。

新しい知識を入れるとき、「これは以前学んだ○○と似ている」「この考え方は日常の△△と同じだ」という橋渡しを意識するだけで、記憶への引っかかりが生まれます。意味の網の目が細かいほど、情報は取り出しやすくなります。

④よく眠る(睡眠が記憶を固定する)

記憶の定着において、睡眠は科学的に重要な役割を持ちます。

脳は起きている間に取り込んだ情報を、眠っている間に整理・定着させます。深いノンレム睡眠の段階で海馬と大脳皮質が連携し、情報が長期記憶へ転送されることが研究で明らかになっています。

徹夜で詰め込んだ知識が翌朝には曖昧になる——この経験がある方も多いのではないでしょうか。夜遅くまで粘るより、覚えた後にしっかり眠る方が、同じ時間でも翌日の記憶量が変わります。

⑤運動する(有酸素運動が海馬を育てる)

記憶を司る脳の部位「海馬」は、体を動かすことで物理的に育てることができます。

ピッツバーグ大学のカーク・エリクソン教授の研究では、座りがちな高齢者120人が週3回・40分のウォーキングを1年間続けた結果、海馬の容積が約2%増加しました。また筑波大学の研究では、10分程度の軽い有酸素運動でも記憶力が高まることが示されています。

運動が脳内でBDNF(神経の成長を促す物質)を増やし、海馬の神経細胞の生成を助けます。「勉強の合間に少し歩く」という習慣が、記憶力の底上げに直接つながります。

⑥アウトプット前提でインプットする(人に教える・書く)

「誰かに説明するつもりで読む」と、記憶の定着が変わります。

読むだけでは受け身のインプットですが、「あとで友人に伝える」「自分の言葉でメモにまとめる」という前提を置くと、脳は情報を整理し言語化しようとします。この処理自体が記憶の固定を促します。

読んだ本の要点を誰かに話す、学んだ内容をすぐ仕事で使う——こうした「行動に変換する習慣」が定着率を引き上げます。インプットの直後に5分、自分への言葉でまとめるだけでも効果があります。

⑦集中できる環境を整える(注意がそれると記銘されない)

記憶の第一段階「記銘」は、注意を向けていなければ起きません。ながら勉強や、スマホを横に置いた状態では情報が脳に入っていないことが多い。

テキサス大学とカリフォルニア大学の2017年の研究では、スマホを別室に置いたグループの方が、机の上やポケットに置いたグループより認知テストの成績が高い傾向が確認されました。電源を切っていても、視界に入るだけで注意の一部が奪われます。

覚えたいことがあるときは、スマホを引き出しの中か別室に。環境を整えるだけで、記銘の効率が変わります。

集中できない原因がもっと気になる方は、勉強に集中できない本当の原因と対策も参考にしてください。

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記憶力アップを習慣にするコツ

7つの方法を知っても、続けなければ変化は起きません。ここでは、習慣化を阻む「完璧主義」への対処法を伝えます。

完璧を目指さず「思い出せなくてもOK」で続ける

「思い出せなかった」は、勉強の失敗ではありません。脳科学的には、思い出そうとする過程そのものが記憶を強める働きをします。答えが出なくても、引き出そうとした事実が脳の回路を刺激するのです。

完璧に覚えようとするより、毎日少しずつ「思い出す練習」を続ける方が、長期的な記憶力は高まります。「半分しか思い出せなかった」ではなく「今日も練習できた」と捉え直す。その小さな積み上げが、数ヶ月後の差になります。

ここまで「どう覚えるか」の設計について話してきましたが、そもそも読む速度が上がれば、記憶の素材になるインプット量そのものが変わります。読むスピードを底上げするトレーニング(速読)も、記憶力を上げる手段の一つです。

記憶力についてよくある質問

記憶力は何歳からでも上げられますか?

はい、上げられます。流動性知能(暗記力・処理速度)は加齢で緩やかに低下しますが、覚え方の設計(想起練習・分散学習・睡眠・運動)は年齢に関係なく機能します。「年だから無理」は誤解です。結晶性知能(語彙・理解力・洞察力)は経験とともに伸び続けます。

一夜漬けは意味がありませんか?

短期的には効果があります。翌日のテストで点を取ることはできます。ただし長期保持には不向きで、1週間後にはほとんど残りません。記憶を定着させるには、分散学習と睡眠を組み合わせた復習が必要です。

サプリやアプリで記憶力は上がりますか?

記憶力サプリの多くは科学的根拠が不十分です。脳トレアプリについては、訓練したタスク自体は上達するものの、記憶力全般への転移(波及効果)は乏しいとするメタ分析が複数あります。「特定の脳機能を鍛えれば頭全体が良くなる」は過剰な期待です。本記事で紹介した睡眠・運動・想起練習の方が、汎用性の高い方法です。

覚えるのが遅いのは病気ですか?

覚えるペースには個人差があり、遅いこと自体は異常ではありません。ただし、以前と比べて急激に物忘れが増えた・同じことを何度も確認するようになった・日常生活に支障が出ているという場合は、医師に相談することをおすすめします。単なる「覚え方の設計の問題」か「脳の健康の問題」かは、専門家の判断を仰ぐのが確実です。

まとめ

記憶力は才能ではなく、脳の仕組みに合った設計の問題です。

  • 思い出す練習(テスト効果)を毎日少し
  • 分散学習で復習のタイミングを分ける
  • 新しい知識を意味づけ・関連づけして入れる
  • 覚えた後はしっかり眠る
  • 有酸素運動で海馬を育てる
  • アウトプット前提でインプットする
  • 集中できる環境を整えてから覚える

どれか一つでも今日から始められます。完璧にやろうとせず、まず一つ試してみてください。記憶の設計が変わると、同じ時間で頭に残る量が変わっていきます。

記憶の素材を増やしたい方へ——読む速度が上がれば、同じ時間に触れられる情報量が変わります。

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