短期記憶とは?数十秒・4つ前後で消える仕組みと仕事で困らない使い方

短期記憶とは|数十秒で消える仕組みと今日から試せる3つの鍛え方

短期記憶とは何かを調べているのは聞いたばかりのことがすぐ抜けて困っているからではありませんか?

上司から3つの指示を受けたのに席に戻る頃には1つしか残っていないとか、電話番号をメモしようとした瞬間に数字が消えたとか。そんなことが続くと自分の頭が心配になっちゃいますよね。

上司から指示を受けて席に戻る途中、3つの吹き出しのうち2つが消えかけている40代の会社員
聞き直すより受けたその場で書き残すほうがずっと早く済みます

短期記憶とは見聞きした情報を数十秒だけ頭に置いておく記憶です。一度に置けるのは4つ前後で、くり返さなければ20秒ほどでほとんど消えます。すぐ忘れるのは記憶力が悪いからではなくもともとそういう仕組みだからなんです。

この記事では短期記憶の保持時間と容量・ワーキングメモリとの違い・弱いと感じる原因・仕事で困らないための使い方を、研究の結果と図で紹介します。

資料を読むときに頭の中で読み上げているとその読み上げだけで短期記憶の枠がふさがってしまいます。私が教えている速読法GSRで、見て意味をとる読み方に変えると何が変わるのかは下の無料の入門動画講座で先に確かめられます。

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目次
ManaBeラボ 浦地純也
  • 株式会社ManaBeラボ代表取締役
  • 中学校、高等学校理科教員免許
  • 国際ジェネラティブチェンジ協会ジェネラティブトランス修了資格
  • カリフォルニア大学発祥の心理学指導者資格

2013年、高知大学で理科教員免許を取得し、公立の高等学校で2年間理科教師として働く。その後速読に感銘を受け愛知県で速読教室と学習塾を開校。

その後、スタンフォード大学心理学博士のギリガン先生と出会い、「瞑想状態×速読」を用いた新しい速読メソッド【GSR(Generative Speed Reading)】をワールドクラスパートナーズ株式会社と開発。

2019年には、「人生を変える速読法 GSR」を出版。2025年までの10年間で44,000人以上への速読指導の実績。現在もオンラインで全国の人々へ向けて活動中。

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短期記憶とは数十秒だけ情報を置いておく記憶

目や耳から入った情報のうち注意を向けたものが短期記憶に入り、数十秒・4つ前後だけ置かれる。何もしなければ20秒ほどで消え、くり返したものが長期記憶へ移る。

短期記憶とは今使う情報を数十秒だけ置いておく記憶のことです。聞いた電話番号を打ち込むまで覚えておくようなほんの短い間の記憶を指します。

目や耳から入った情報のうち注意を向けたものだけが短期記憶に入ります。そこでくり返したり意味を考えたりした情報だけが長く残る長期記憶へ移っていきます。記憶の全体の流れは記憶のしくみと種類で整理しています。

短期記憶の保持時間はくり返さなければ20秒ほど

短期記憶は頭の中でくり返さなければ20秒ほどでほとんど消えます。このことを確かめたのが1959年のピーターソン夫妻の実験です(Peterson & Peterson, 1959)。

大学生に意味の無いアルファベット3文字を聞かせ、すぐに3つずつ数を逆に数えてもらいました。頭の中でくり返せないようにするためです。

3秒後なら約8割の人が答えられたのに、18秒後には1割も答えられなくなっていました。

意味の無いアルファベット3文字を聞いたあと数を逆に数えて頭の中でくり返せなくした実験で、3秒後には約8割が答えられたが、18秒後には1割未満しか答えられなかった。

会議でさっき出た数字が次の話が始まると消えてしまうのはこのためです。別のことに頭を使った瞬間にくり返しが止まってしまうんです。

一度に置けるのは7つではなく4つ前後

短期記憶に一度に置ける量は今は4つ前後と考えられています。

よく知られているのはアメリカの心理学者ジョージ・ミラーが1956年に示した7±2で、マジカルナンバー7と呼ばれました(Miller, 1956)。

その後の研究を整理したネルソン・コーワンは、くり返しやまとめ方の工夫を除くと4±1が本当の容量だと示しています(Cowan, 2001)。

短期記憶の容量はミラー(1956年)が7±2と示したが、まとめ方やくり返しの工夫を除いた本当の容量はコーワン(2001年)によると4±1。5つ以上の指示は書き出す前提で受け取るとよい。

3つの指示なら覚えられても、5つ6つになると最初のほうが抜けるのはこの容量を超えているからです。

短期記憶と長期記憶の違い

短期記憶と長期記憶は残る時間と入る量がまったく違います。

短期記憶長期記憶
残る時間数十秒数分〜一生
入る量4つ前後上限は無いとされる
消え方くり返さないと消える使わないと取り出しにくくなる
仕事の例聞いた番号を打ち込む取引先の名前や業務の手順

短期記憶の情報を長く残る記憶に変える方法は、このあと最後の方法でふれます。

短期記憶とワーキングメモリの違い

短期記憶は情報を置いておく箱、ワーキングメモリは置きながら考える作業台。ワーキングメモリは司令塔の中央実行系、声の置き場の音韻ループ、絵の置き場の視空間スケッチパッド、エピソード・バッファでできている。頭の中で読み上げると声の置き場が埋まる。

短期記憶は情報を置いておく箱で、ワーキングメモリは置きながら使う作業台です。今の心理学では短期記憶をワーキングメモリの一部として考えることが多くなっています。

ワーキングメモリは覚えながら考える作業台

ワーキングメモリは情報を置きながら考えるときに働きます。

たとえば13×4を暗算するとき、13と4を頭に置いたまま掛け算をしますよね。

相手の話を覚えておきながら返事を考えるのもワーキングメモリの仕事です。置いておくだけなら短期記憶、置きながら使うならワーキングメモリと考えると分かりやすくなります。

ワーキングメモリには声の置き場と絵の置き場がある

イギリスの心理学者アラン・バドリーは、ワーキングメモリを声の置き場と絵の置き場、それをまとめる司令塔に分けて説明しました。

  • 音韻ループ:言葉を声の形で置いておく場所(例:聞いた番号を頭の中で唱える)
  • 視空間スケッチパッド:形や場所を絵として置いておく場所(例:会議室までの道順を思い浮かべる)
  • 中央実行系:どれに注意を向けるかを決める司令塔
  • エピソード・バッファ:置き場の情報と長期記憶をつないでまとめる場所

このうち音韻ループは文章を読むときにも使われます。頭の中で文字を読み上げるとここがずっと埋まった状態になるんです。読み方との関係はこのあと詳しく説明します。

短期記憶が弱いと感じる3つの原因

短期記憶が弱いと感じる原因は注意・量・頭の空きの3つにあることがほとんどです。容量が人より少ないのではなく使える枠が減っているだけなんです。

短期記憶が弱いと感じる原因は、①注意が別のことに向いていてそもそも入らない、②一度に4つを超える量が来て前のものが押し出される、③気がかりや睡眠不足で使える枠が減る、の3つ。容量が少ないのではなく使える枠が減っている。

①聞く・読むときに注意が別のことに向いている

短期記憶に入るのは注意を向けた情報だけです。チャットを見ながら話を聞いていると話の中身はそもそも短期記憶に入っていません。

あとで覚えていないと感じても忘れたのではなく入っていなかったんです。注意を向けた情報だけが入るという仕組みを知っておくと、自分を責めずに済みますよ。

②一度に入ってくる量が4つを超えている

一度にたくさんの指示を受けると最初のほうから押し出されて消えていきます。4つ前後の枠に5つ6つを詰め込もうとしているからです。

立場が上がるほど1回の打ち合わせで受け取る情報は増えますよね。量が増えたのに受け取り方が同じなら、抜けるのは自然なことなんです。

③気がかりや睡眠不足で頭の空きが減っている

気がかりなことを抱えているときや寝不足のときは、作業台の一部がふさがった状態になります。部下のトラブルを考えながら会議に出ると議題の話が残りにくいのはこのためです。

最近になって急に覚えられなくなったと感じるなら、年齢のせいかどうかを見分ける方法をこちらで紹介しています。

しゃっく

すぐ忘れるのはあなたの頭の性能が低いからじゃないんです。枠がほかのことで埋まっていたり、入れる前に注意がそれていたりするだけなんですよ。

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短期記憶を仕事で困らないように使う4つの方法

短期記憶で困らないコツは容量を増やそうとするより、少ない枠を上手に使うことです。今日から使える方法を4つ紹介します。

①かたまりにまとめて数を減らす

情報を意味のあるかたまりにまとめると同じ量でも数が減って覚えやすくなります。これをチャンク化と呼びます。

たとえばNECSONYTOSHIBAという14文字は、1文字ずつだと14個です。でも家電メーカーの名前が3つ並んでいると気づけば、NEC・SONY・TOSHIBAの3つのかたまりで済みます。

NECSONYTOSHIBAという14文字は1文字ずつ覚えると14個だが、NEC・SONY・TOSHIBAという3つの名前のかたまりにすると3個で済み、短期記憶の枠に収まる。

仕事の指示もポイントは3つだと先に聞いてから受け取ると、かたまりができて抜けにくくなります。

②聞いたらその場で復唱して書き出す

短期記憶は数十秒で消えるので、消える前に外に出すのがいちばん確実です。指示を受けたらその場で復唱してメモに書きましょう。

復唱するとくり返しで短期記憶が保たれ、聞き違いもその場で直せます。あとでまとめて書こうは、20秒の壁に間に合いません。

上司の机の前で、受けた指示を復唱しながら小さなノートに書き留める40代の会社員
復唱は相手にとっても聞き違いがないかを確かめる機会になります

仕事で使うメモの書き方は仕事を覚えるのが早い人のメモの取り方にまとめています。

③聞く前・読む前に作業台を空けておく

大事な話を聞く前は気がかりを紙に書き出して頭の外に出しておきます。作業台を先に空けておくと受け取る情報のための枠が増えるからです。

会議の前の1分で、気になっていることを付箋に書いて画面の端に貼るだけで十分です。スマホは伏せるよりカバンにしまうほうが注意を取られにくくなります。

会議の前に気がかりを付箋に書いてモニターの端に貼り、ノートを開いてほっとしている40代の女性
付箋は1枚に1つずつ書くと会議のあとに片付ける順番も決めやすくなります

書き出したことは会議のあとで片付ければいいと分かっているだけで頭はずいぶん軽くなりますよ。

④長く残したいことは長期記憶へ送る

覚えておきたいことは日をあけて何度か思い出して長期記憶へ送ります。短期記憶のままではどれだけ大事な情報でも数十秒で消えてしまうからです。

長期記憶へ移す復習のやり方と、忘却曲線の正しい読み方はこちらで詳しく説明しています。

短期記憶そのものを鍛える効果は限られている

短期記憶やワーキングメモリの容量を練習で大きく広げるのは、今のところ難しいと考えられています。練習した課題は上手になっても、ほかの場面まで広がりにくいからです。

ノルウェーのオスロ大学などの研究者は、ワーキングメモリの訓練を調べた研究をまとめて分析しました(Melby-Lervåg & Hulme, 2013)。

訓練した課題の成績は上がってもその効果は数週間で薄れやすく、考える力のような別の能力にはほとんど広がっていませんでした。

ワーキングメモリの訓練を調べた研究をまとめて分析すると、訓練した課題は上手になるが数週間で薄れやすく、考える力など別の能力にはほとんど広がらなかった。容量を鍛えるより使い方を変えるほうが役に立つ。

上手になったのはそのゲーム

しゃっく

脳トレのスコアが上がると頭がよくなった気がしますよね。でも上手になったのはそのゲームなんです。

脳トレアプリで遊ぶ時間があるなら、かたまりにまとめる・外に出す・作業台を空けるといった使い方を変えるほうが仕事ではずっと役に立ちます。覚え方そのものを変える方法は記憶力を上げる7つの方法で紹介しています。

文章を読むときは頭の中の音読が短期記憶の枠を使っている

文章を読むときに頭の中で読み上げていると、音韻ループの枠を読み上げに使い続けることになります。じつは私が教えている速読は、この枠を空ける練習でもあるんです。

短期記憶の記事で速読の話が出てきて意外に思いましたよね。理由を順番にお話しします。

頭の中の音読は声の置き場をふさぐ

頭の中で文字を声に出して読むクセを内声化と呼びます。内声化をしながら読むと、言葉の声の置き場が一字一句の読み上げで埋まります。

その結果、前の文の内容を置いておく余裕も要点にまとめる余裕も残りません。1ページ読み終えたのに、何が書いてあったか言えないのはこのためなんです。

内声化は無理に止めようとするとかえって増えてしまいます。減らし方はこちらで詳しく紹介しています。

速読法GSRは見て意味をとる読み方で枠を空ける

速読法GSRは見て意味をとる読み方を練習で身につける方法です。読み上げに使っていた枠が空くと、読んだ内容を要点にまとめる余裕が生まれます。

読み方は短い練習の積み重ねで変えられます。

広島大学の森田愛子氏らの研究(2015年・大学生43人)では、視野を広げる練習に内声化を減らす練習を加えたトレーニングを1日約5分・1週間続けるだけで、読書速度が平均約60%上昇したことが報告されています(出典:森田・小澤(2015)日本教育工学会論文誌)。

広島大学の森田愛子氏らの研究では、大学生43人が視野を広げる練習に内声化を減らす練習を加えたトレーニングを1日約5分・1週間続け、読書速度が平均約60%上昇した。

GSRの考え方と練習の中身は速読法GSRの全体像で紹介しています。

しゃっく

読むのが遅い人ほど頭の中で丁寧に読み上げているんです。丁寧さがかえって枠をふさいでいたんですよ。

読み方を変えて内容が残るようになった受講者の声

読み方を変えたことで速く読んでも内容が残るようになった受講者はたくさんいます。

1冊に1〜2か月かけても結局ほとんど理解していなかった方が、本の30%は理解しながらアウトプットできるようになりました。読書速度が受講前の119倍になり、仕事に生かせるアウトプットもできるようになった方もいます。

受講者の声_IHさん

受講者の声_野見山勇大さん

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まずは無料の入門動画講座で読み方を確かめる

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短期記憶についてよくある質問

短期記憶とは簡単に言うと何ですか?

見聞きした情報を数十秒だけ頭に置いておく記憶です。聞いた電話番号を打ち込むまで覚えておくようなごく短い間の記憶を指します。くり返したり意味を考えたりしないとそのまま消えます。

短期記憶は何秒もちますか?

頭の中でくり返さなければ、20秒ほどでほとんど消えます。1959年の実験では、3秒後には約8割の人が覚えていた文字を、18秒後には1割も答えられなくなっていました。

短期記憶の容量は7つですか?4つですか?

7±2という説が有名ですが、くり返しやまとめ方の工夫を除いた本当の容量は4±1という考え方が今は広く支持されています。仕事では一度に4つを超える情報は書き出すと考えておくと安心です。

短期記憶とワーキングメモリの違いは何ですか?

短期記憶は情報を置いておく箱で、ワーキングメモリは置きながら考える作業台です。暗算のように数字を覚えたまま計算するときに働くのがワーキングメモリです。

短期記憶は大人でも鍛えられますか?

容量そのものを練習で大きく広げるのは難しく、訓練の効果は練習した課題にとどまりやすいとされています。かたまりにまとめる・その場で書き出す・気がかりを先に外に出すといった使い方の工夫のほうが効果的です。

すぐ忘れるのは病気ですか?

聞いたことを数十秒で忘れるのは短期記憶の正常な働きです。ただ約束したこと自体を丸ごと忘れる・短い期間で急にもの忘れが強くなったといった場合は、早めにもの忘れ外来などの医療機関に相談してください。

まとめ

短期記憶は数十秒・4つ前後しか置いておけない記憶です。

  • くり返さなければ20秒ほどでほとんど消える
  • 置ける量は7つではなく4つ前後
  • ワーキングメモリは置きながら考える作業台
  • 弱いと感じる原因は注意・量・頭の空きの3つ
  • 容量を広げるより、まとめる・書き出す・空けるで使いこなす

今日はまず次に口頭で指示を受けたら、その場で復唱してメモに書いてみてください。

そのうえで資料を読んでも内容が残らないと感じているなら、迷わず無料の入門動画講座を受け取ってください。頭の中の音読が減ると、読んだ内容を置いておく枠が空いていきます。

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