デフォルトモードネットワークとは|ひらめきと脳疲労を生む仕組みと整え方

デフォルトモードネットワークとは|ひらめきと脳疲労を生む仕組みと整え方

一日中、特別に何かをしたわけでもないのに、夜には頭がぐったり疲れている。休日にゴロゴロ過ごしたのに、月曜の朝はなぜか体が重い。布団に入っても、仕事のこと・将来の不安・昔の失敗が勝手に再生されて、頭の中がずっとざわついている。

——そんな感覚に、心当たりはありませんか。

じつは、この休んでも休まらない頭には、脳科学でちゃんと名前がついています。デフォルトモードネットワーク。何もしていないときにこそ活発になる、脳の働きのことです。

この記事では、デフォルトモードネットワークとは何かを、できるだけかみくだいて説明します。そのうえで、なぜ休んでも頭が疲れるのか、そして自分でその状態をどう切り替えればいいのかまで、順番に見ていきます。

ManaBeラボ 浦地純也
  • 株式会社ManaBeラボ代表取締役
  • 中学校、高等学校理科教員免許
  • 国際ジェネラティブチェンジ協会ジェネラティブトランス修了資格
  • カリフォルニア大学発祥の心理学指導者資格

2013年、高知大学で理科教員免許を取得し、公立の高等学校で2年間理科教師として働く。その後速読に感銘を受け愛知県で速読教室と学習塾を開校。

その後、スタンフォード大学心理学博士のギリガン先生と出会い、「瞑想状態×速読」を用いた新しい速読メソッド【GSR(Generative Speed Reading)】をワールドクラスパートナーズ株式会社と開発。

2019年には、「人生を変える速読法 GSR」を出版。2025年までの10年間で44,000人以上への速読指導の実績。現在もオンラインで全国の人々へ向けて活動中。

目次

デフォルトモードネットワークとは

デフォルトモードネットワークとは

デフォルトモードネットワークは、英語の頭文字をとってDMNと呼ばれます。難しそうな名前ですが、中身はいたってシンプルです。

ひとことで言えば、あなたが何もしていないときに働き出す脳の回路のこと。仕事や読書のように何かへ集中しているときではなく、ぼーっとしている時間にこそ、活発になります。

何もしていない時に働く脳のアイドリング状態

車を思い浮かべてください。信号待ちで止まっていても、エンジンは切れていません。アイドリングして、いつでも走り出せるよう準備しています。

脳も同じです。デスクで作業の手を止めても、通勤電車でぼんやり外を眺めていても、脳は完全には休んでいません。むしろ、このアイドリング状態でせっせと動いているのがDMNです。

脳のエネルギーの大半を使っているDMN

ここで、名前のイメージを裏切る意外な事実があります。

そもそも脳は、体重のわずか2%ほどの重さなのに、体全体のエネルギーの約20%を使う大食いの臓器です。しかも、その大半は、何かに集中している時に使われるわけではありません。

作業に取り組んでも、脳全体のエネルギー消費はほんの数%しか増えないことが分かっています。つまり脳は、集中した瞬間にドッと働くのではなく、何もしていない時から、もともと大量のエネルギーを使い続けているんです。

そして、その安静時の消費の多くを占めているのがDMNです。脳が使うエネルギーの70〜80%が、このアイドリング状態に注がれているとも言われます。

デフォルトモードネットワークという名前からは、何もしていない省エネ状態を思い浮かべるかもしれません。でも、実際は逆です。ぼんやりしている時こそ、脳は静かにフル稼働している。だからこそ、休日にゴロゴロしたのに疲れが取れない、ということが起こるんです。

ぼんやりは脳が情報を整理している時間

では、DMNはそのエネルギーで何をしているのか。

主な仕事は、情報の整理です。その日に見聞きしたこと、過去の記憶、これから起きそうなことを、無意識のうちに引っ張り出してはつなぎ直しています。

ぼんやりする時間は、サボっている時間ではありません。脳が机の上を片付け、引き出しを整理しているメンテナンスの時間なんです。

ここで、この記事でいちばん大事な考え方を先にお伝えします。DMNは、良いものでも悪いものでもありません。私たちを助けてくれる顔と、暴走して疲れさせる顔の、両方を持っています。

だから目指すのは、消し去ることではなく、うまく付き合うこと。この先では、まずDMNの良い面と悪い面を順番に見たうえで、自分でその働きを切り替える方法、そして私が教える速読法GSRがDMNをどう味方につけているかまで進んでいきます。

デフォルトモードネットワークが担う2つの大切な役割

デフォルトモードネットワークが担う2つの大切な役割

DMNには、私たちにとってありがたい役割が大きく2つあります。これを先に知っておくと、このあと出てくる暴走の話がぐっと分かりやすくなります。

記憶を整理して定着させる

1つ目は、記憶の整理と定着です。

日中に詰め込んだ情報は、その場ではバラバラのまま。それを、ぼんやりした時間に脳が並べ替え、必要なものを長期記憶へと移していきます。

よく眠った翌朝に、前日こんがらがっていた考えがスッと整理されていた。そんな経験はありませんか。あれは、休んでいるあいだにDMNが裏で働いてくれていた証拠です。

ひらめき・アイデアが生まれる土壌になる

2つ目は、ひらめきです。これは、あなたにも思い当たる場面があるはずです。

机にかじりついて必死に考えても、解決策がまったく浮かばない。ところが、トイレに立ち上がった瞬間や、お茶を淹れにいった途中で、ふと別の角度から答えがひらめく。あるいは、のんびり散歩しているときに、急にいいアイデアが湧いてくる。

真剣に向き合っているときよりも、そこからちょっと離れたときの方が、いい考えが出てくる。これ、多くの人が経験的に知っていることではないでしょうか。

じつは、これもDMNの働きです。作業の手を止めた瞬間にDMNがオンになり、脳の中に眠っていた記憶どうしを勝手につなぎ合わせる。その結果、思ってもみなかった組み合わせが、ひらめきとして浮かび上がってくるんです。

これは、スタンフォード大学の実験でも確かめられています。歩きながらアイデアを出した人は、座ったままの人より160%も優れたアイデアを出せた、という結果でした。つまり、ひらめきが欲しいときほど、机から離れてぼんやりする時間が効いてくるということです。

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休んでも頭が休まらないのはデフォルトモードネットワークの暴走が原因

ここまで読むと、DMNはずいぶん頼もしい働き者に思えてきます。

でも、ここからが本題です。この働き者は、働きすぎるという厄介な一面を持っています。記事の冒頭で挙げた、休んでも休まらない頭の正体は、まさにこの暴走なんです。

考えがぐるぐる止まらない反芻思考

DMNが過剰に働くと、まず起きるのが「反芻思考」です。過去の失敗や将来の不安が、頭の中で何度も再生され、止まらなくなる状態のこと。

夜、布団に入ってから昼間の失言を思い出して、ぐるぐる考え込んでしまう。あの感覚です。

しかも私たちは、昨日と今日でおよそ95%、同じことを考えていると言われています。新しいことを考えているようで、じつは同じ心配を毎日繰り返しているだけ。この無限ループこそ、暴走したDMNが生み出すものです。

休んでいるのに脳が疲れる理由

ぼーっとすればするほど、脳は過去を引っ張り出し、起きてもいない未来を勝手にシミュレーションします。そのたびにエネルギーを消費し、脳の疲労がたまっていく。

たくさん寝たのに疲れが抜けない。何もしていないのにグッタリする。その正体は、休んでいるあいだもDMNが回り続け、脳が働きすぎているからです。

ここは大事なので、はっきり言います。あなたの疲れは、怠けているからではありません。むしろ、脳が休めずに働きすぎているサインなんです。気分が晴れない日が続くときも、脳がサボっているのではなく、働きすぎていることが多いと指摘されています。

目の前のことに集中できなくなる

暴走したDMNは、集中力も奪います。

仕事に取りかかろうとしても、関係のないことが次々と頭に浮かんでくる。気づけば、さっきの会話やスマホの通知のことを考えている。そんな経験はないでしょうか。

DMNがオンのあいだは、目の前の作業に向けるべき脳の力が、雑念に吸い取られてしまいます。集中したいのに集中できないのは、意志が弱いからではありません。DMNのスイッチが入りっぱなしになっているだけなんです。

デフォルトモードネットワークは消すのではなく切り替える

では、暴走するDMNをどうすればいいのか。

ここで、多くの人がやりがちな勘違いがあります。DMNを消そう、止めようとすることです。

オンとオフを自分で切り替える力がカギ

思い出してください。DMNには、記憶を整理し、ひらめきを生むという大切な役割がありました。完全に消してしまえば、その恩恵まで失います。

問題は、DMNがあること自体ではありません。オンになりっぱなしで、自分では切れないことです。

だから目指すのは、消すことではなく、切り替えること。集中したいときはオフに、休ませたいときはオンに。この切り替えを自分でできるようになる。それがゴールです。

切り替えスイッチは瞑想で鍛えられる

その切り替えスイッチを鍛える方法として、研究が積み重なっているのが瞑想です。

やり方の基本は、驚くほどシンプル。呼吸に意識を向け、雑念が浮かんだら、また呼吸に戻す。これを繰り返すだけです。

コツは、雑念を無理に消そうとしないこと。浮かんだ考えを追い払うのではなく、気づいて、そっと手放す。脳には、止めようとするほど逆に強まる天邪鬼な性質があります。だから、戦わずに戻すんです。

この練習を続けると、思考がさまよい始めたことに自分で気づき、自分で今ここへ戻せるようになります。これはまさに、DMNのスイッチを手動で切り替える訓練です。

自分のタイプに合った脳の整え方

じつは、効きやすい整え方には個人差があります。脳科学の研究では、人は意識の向きやすさで大きく2つのタイプに分かれると言われています。

  • 内面集中タイプ:意識が自分の内側(感情・考えごと・体の感覚)に向きやすい
  • 外部集中タイプ:外の刺激(音・人の様子・まわりの動き)に引っ張られやすい

おもしろいのは、自分と逆方向の整え方をすると、バランスが取れる点です。

  • 内面に向きやすい人 → 目を開けて、3メートルほど離れた一点(壁のシミ、観葉植物の葉先など)を5分間じっと見つめる
  • 外の刺激に向きやすい人 → 目を閉じて、呼吸のリズムを意図的に変える(たとえば、吐く息を長くする)

自分がどちらかは、朝起きてすぐの2分間、意識が自然にどこへ向かうかを観察すると見えてきます。自己診断の5つの質問と、タイプ別の瞑想・6分間の整え方は、思考が止まらないときの脳タイプ別の整え方でくわしく紹介しています。

一つのことへの没頭も脳の切り替えになる

そしてもう一つ。瞑想と並んで効くのが、何か一つのことへの没頭です。

DMNは、目的もなくぼんやりしているときに活発になり、何か一つの対象へ意識を集中させると、すっと鎮まります。目の前のことに深く入り込む時間そのものが、DMNをオフに切り替えるスイッチになるんです。

では、その没頭を日常で最も手軽につくれるものは何か。私は、読書だと考えています。

脳の切り替えを読書に応用した速読法GSR

ここまでの話を、そっくり読書に応用したのが、私の教えている速読法GSRです。DMNと戦って無理に消すのではなく、その仕組みをうまく味方につける。それがGSRの基本的な考え方です(GSRがどんな速読法なのかは、速読法GSRとはで全体像を解説しています)。

本を読むのが好きな人なら、わかってもらえるかもしれません。物語や論理にぐっと引き込まれているとき、頭の中のざわつきは、いつのまにか静かになっています。この読書の没入を、脳の状態づくりから設計したのがGSRです。

読書への没入がデフォルトモードネットワークの暴走を止める

集中して本を読んでいるあいだ、脳は目の前の文章という一つの対象に向かいます。すると、過去や未来をさまようDMNの自動運転モードから抜け出せる。

実際、読書中は心と体がゆるむ副交感神経が優位になります。たった6分間の読書でストレスが約70%減ったという研究報告もあるほどです。読書がもたらすこうした効果は、読書の効果とメリットでくわしく整理しています。

ぐるぐる思考が止まらない夜、布団でスマホをいじるより、数ページ本を読む方が頭が静まる。これは脳の仕組みから見ても、理にかなっているんです。

速読法GSRは整えてから読む

ただし、ざわついた頭のまま本を開いても、文字はうまく入ってきません。仕事のメールや夕飯の献立が頭の片隅で再生され続け、内容が上滑りしてしまう。

そこでGSRでは、読む前にまず脳を整えます。

姿勢を正し、ゆっくり腹式呼吸をして、浮かんでくる雑念を気づいては手放す。1分ほどのこの「前読み瞑想」で、脳の作業机を片付けてから読み始めます。

頭の中のメモ帳が散らかったままでは、新しい情報を置く場所がありません。先に片付けておくから、内容がすっと入ってくるんです。

このとき脳に生まれる、深いリラックスと高い集中が同居した状態をジェネラティブステートと呼びます。GSRが読書の土台に置いているのが、この状態です。

速読なのになぜ脳の状態を整えるのか

ここまで読んで、こう思ったかもしれません。速読の話のはずなのに、なぜずっと脳の状態や呼吸の話をしているのか、と。

理由はシンプルです。GSRは、目を速く動かすテクニックでも、ページをめくるだけの飛ばし読みでもありません。集中できる脳の状態をつくることを核心に置いた、いわば脳の使い方のトレーニングだからです。

速く読めるようになることと、脳のざわつきを切り替えられるようになること。GSRでは、この2つを同時に育てていきます。だから、脳の状態の話が欠かせないんです。

私が教えている速読法GSRは、こうした集中できる脳の状態づくりと、本を速く読む力を一緒に伸ばすトレーニングです。頭のざわつきに振り回されず、もっと身軽に学んでいきたいと感じているなら、無料の入門動画講座がきっと参考になります。

脳の状態が変わると日常がどう変わるか

脳の切り替えができるようになると、変わるのは読書スピードだけではありません。

実際に受講した方からは、共通したパターンの変化が報告されています。考えのぐるぐるや感情の乱れが落ち着き、頭にも時間にも余裕が生まれる。そのうえで、もっと読みたいという前向きな気持ちが戻ってくる、という流れです。

受講者の声_益永比呂子さん

受講者の声_IHさん

受講者の声_本図木綿子さん

なぜ、こうした変化が起きるのか。

読む前に脳を整え、読書に没頭する。この習慣が、DMNの暴走から抜け出すスイッチを毎日押すことになるからです。雑念に振り回される時間が減れば、感情にも振り回されにくくなる。空いた脳の余白に、好奇心や次の一歩を考えるゆとりが戻ってくるんです。

ここで紹介したのは、あなたにも起こりうる変化です。特別な才能があった人たちではありません。脳の使い方を、少し切り替えただけなんです。

デフォルトモードネットワークに関するよくある質問

デフォルトモードネットワークは、止めた方がいいのですか?

いいえ。記憶の整理やひらめきを担う大切な働きなので、完全に止めるのは逆効果です。問題は働くこと自体ではなく、オンになりっぱなしで自分では切れないこと。集中したいときにオフへ切り替える力を鍛えるのがゴールです。

デフォルトモードネットワークが過剰になると、どうなりますか?

過去や未来への考えがぐるぐる止まらなくなり、休んでも脳が疲れ、集中力も落ちます。DMNは脳が使うエネルギーの70〜80%を消費するため、ぼんやりする時間が長いほど脳疲労がたまります。休んでも頭が休まらない原因の一つです。

デフォルトモードネットワークを切り替えるには、何をすればいいですか?

代表的なのは瞑想です。呼吸に意識を向け、雑念が浮かんだら気づいて呼吸に戻す。これを繰り返すと、思考のさまよいに自分で気づき、今ここへ戻せるようになります。何か一つのことへ没頭する時間も、同じ切り替えの練習になります。

瞑想が苦手でも切り替えられますか?

はい。難しく考える必要はありません。一つのことへ深く没頭する時間も、DMNをオフに切り替えるスイッチになります。なかでも読書は手軽な方法です。寝る前のスマホを数ページの読書に変えるだけでも、頭のざわつきは静まっていきます。

速読は、脳の状態を整えることとどう関係するのですか?

私が教える速読法GSRは、読む前に呼吸を整え、脳を集中状態にしてから読み始めます。読書に没頭することがDMNの暴走を抑え、結果として速く深く読めるようになります。速く読む技術と脳の切り替えを同時に鍛えるのがGSRです。

まとめ

デフォルトモードネットワークは、敵ではありません。記憶を整理し、ひらめきを生んでくれる、脳の大切な働きです。

問題は、それがオンになりっぱなしで、自分で切り替えられないこと。休んでも頭が休まらない・考えがぐるぐる止まらない・目の前のことに集中できない。その多くは、能力ではなく、DMNのスイッチの問題です。

だとしたら、安心してください。スイッチは、後からでも鍛えられます。呼吸に意識を向ける瞑想や、一つのことへの没頭。たとえば本を読むことが、その練習になります。

今日できる小さな一歩は、寝る前のスマホを、数ページの読書に変えてみること。それだけでも、頭の中のざわつきは少し静かになるはずです。

そして、その読書そのものを脳の状態づくりから設計し直したのが、私の教える速読法GSRです。脳のスイッチを切り替えながら、速く、深く読む。その具体的なやり方は、無料の入門動画講座でくわしくお伝えしています。

頭の疲れから抜け出して、学びを軽くしていきたい。そう感じたなら、まずは気軽にのぞいてみてください。あなたのその一歩を、私は応援しています。

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