『本は読めないものだから心配するな』という書名を見て、少し気持ちが軽くなったことはありませんか?
机の横には買ったまま開いていないビジネス書があって、読み終えた本も中身を聞かれるとうまく答えられない。そんな自分を、読む力がないせいだと責めちゃうんですよね。
でも、読み切れないことも忘れてしまうことも、あなたの能力のせいではないんです。
この記事では、管啓次郎さんの『本は読めないものだから心配するな』がどんな本で何を伝えているのかを、出版社の紹介や著者のインタビューをもとに紹介します。
そのうえで速読を教えている立場から、本の考えと速読の考えの共通点と違いを見比べます。
『本は読めないものだから心配するな』は、本を読んで忘れるのは当たり前で、読めたと言えなくても心配しなくていいと伝える読書のエッセイ集です。速読も全部を完ぺきに読もうとしない点では同じ考えに立っていますが、時間のかけ方は正反対なんです。
味わう本はこの本のようにゆっくり読み、仕事の本は速読で要点を取り出す、という使い分けをおすすめします。
この記事の執筆・監修
浦地純也(しゃっく)
速読メソッド「GSR」講師 / 株式会社ManaBeラボ 代表取締役

- 株式会社ManaBeラボ代表取締役
- 中学校、高等学校理科教員免許
- 国際ジェネラティブチェンジ協会ジェネラティブトランス修了資格
- カリフォルニア大学発祥の心理学指導者資格
2013年、高知大学で理科教員免許を取得し、公立の高等学校で2年間理科教師として働く。その後速読に感銘を受け愛知県で速読教室と学習塾を開校。
その後、スタンフォード大学心理学博士のギリガン先生と出会い、「瞑想状態×速読」を用いた新しい速読メソッド【GSR(Generative Speed Reading)】をワールドクラスパートナーズ株式会社と開発。
2019年には、「人生を変える速読法 GSR」を出版。2025年までの10年間で44,000人以上への速読指導の実績。現在もオンラインで全国の人々へ向けて活動中。
『本は読めないものだから心配するな』はどんな本か

『本は読めないものだから心配するな』は、詩人で比較文学者の管啓次郎さんが、本を読むことと旅することについて書いたエッセイ集です。最初の単行本は2009年に左右社から出て、2021年にちくま文庫に入りました。
まずは書名や発行年などの基本情報から見ていきましょう。
書名と著者と出版社と発行年
いま新刊で手に取りやすいのは、2021年9月に筑摩書房から出た文庫版です。単行本と新装版は左右社から出ています。
| 版 | 出版社 | 発行 | ページ数 |
|---|---|---|---|
| 単行本 | 左右社 | 2009年10月 | 263ページ |
| 新装版 | 左右社 | 2011年6月 | 268ページ |
| 文庫版(ちくま文庫) | 筑摩書房 | 2021年9月 | 304ページ |
出典:筑摩書房の書籍ページ/左右社の書籍ページ/国立国会図書館サーチ
文庫版には、作家の柴崎友香さんの解説がついています。左右社の新装版の紹介では、青山ブックセンターの2010年エッセイ・紀行部門で売上1位になったことが紹介されています。
著者の管啓次郎さん
管啓次郎さんは1958年生まれの詩人・比較文学者で、文庫版の著者紹介では明治大学大学院の教授とされています。翻訳者としても活動していて、『斜線の旅』で読売文学賞を受けています。
本を読むことと旅をすることを重ねて書くのが、この著者の特徴です。2022年のインタビューでも、旅と読書は同じ形をしている、という考えを話しています。
出典:リアルサウンド ブック 2022年8月18日の著者インタビュー
読書論でありブックガイドでもあるエッセイ集
この本は、1つの結論に向かって章を積み上げる本ではなく、本や言葉や旅をめぐる短い文章を集めたエッセイ集です。
筑摩書房の紹介文では、読書論とブックガイドと世界を知るための案内書を兼ねた本だと説明されています。紹介される話題は文学だけでなく、写真や映画、旅先の土地や文化にまで広がります。
書評によると、ページの左上には短い言葉が置かれていて、それが見出しのような役割をしています。最初から順番に読まなくても、気になった言葉のページから開けるつくりです。
この本が向いている人
ここからは本の主張ではなく、速読を教える立場から見た、この本の位置づけです。
この本は、読み方のノウハウを教える本ではなく、読書との向き合い方を変えてくれる本です。とくに次のような人に向いています。
- 買ったまま読んでいない本が増えて、後ろめたさを感じている人
- 読んだ本の中身を忘れてしまい、自分の読む力を疑っている人
- 仕事の本ばかり読んでいて、本を楽しむ感覚を忘れかけている人
反対に、明日の会議までに資料を早く読む方法を探している人には、目的が違う本です。その悩みには、この記事の後半で触れる読む速さの話が近いんです。
『本は読めないものだから心配するな』の要点

要点は、本は読んでも忘れるのが当たり前で、読めたと言えなくても心配せずに読み続ければいいということです。
ここからは本の中の言葉と出版社の紹介文と著者のインタビューを分けて、3つの要点を見ていきましょう。
本を読んで忘れるのは当たり前
この本は、読んだ内容を忘れることを失敗だとは考えていません。出版社の紹介文にも、本を読んで忘れるのは当たり前だという言葉があります。
内容を覚えていなくても、読めたと言えなくても、心配しなくていい。そのうえで、よろこびをもって前に進もう、というのが書名に込められた考えです。
仕事の場面に置きかえると、半年前に読んだビジネス書の中身をほとんど言えなくても読んだことは無駄になっていない、という見方になります。
本は冊という単位で数えない
この本は、本に冊という単位はないという考えを示しています。著者は2022年のインタビューでも同じことを話していて、本の考えの中心にある言葉です。
1冊の本は、それだけで閉じたものではありません。ほかの本や、本の外の世界とつながっていく。だから、何冊読み終えたかで読書を数えなくていい、と読むことができます。
月に何冊読んだかを気にして、読み終えられない自分を責めていた人には、数え方そのものを変える考え方なんですよね。
難しい本を少しずつ読み続ける
著者は2022年のインタビューで、すぐ読める本ばかりではなく、難しくて理解できない本を少しずつでも読み続ける習慣が大切だと話しています。
これは本の中ではなく、本が話題になったあとのインタビューでの発言です。読めなくても心配しなくていいという考えは、読まなくていいという意味ではない、ということが分かります。
3つの要点と、どこで確かめられるかをまとめると次のようになります。
| 要点 | どこで確かめられるか |
|---|---|
| 本を読んで忘れるのは当たり前 | 本の中の言葉・出版社の紹介文 |
| 本に冊という単位はない | 本の考え・著者インタビュー |
| 難しい本を少しずつ読み続ける | 著者インタビュー(本の外での発言) |
しゃっく書名だけ見ると読まなくてもいいと言っているように見えますよね。でも実際は、心配しないで読み続けよう、という本なんです。
本の考えと速読の考えの共通点
共通点は、全部を完ぺきに読もうとしないことと、細かいところは忘れる前提で読むことの2つです。
ここで、なぜ速読の話になるのかを説明させてください。速読と聞くと、全部の文字を猛スピードで読み切る技術を想像する人が多いんです。でも私が教えている速読の考え方は、この本と重なるところがあるんです。


全部を完ぺきに読もうとしない
この本は、読めたと言えなくても心配しなくていいと伝えています。速読でも、読むゴールを100%の理解から要点の理解に切り替えます。
私が教えている速読法GSRでは、最初の理解は30〜60%を目安にしています。全部を均等に理解しようとすると、頭の中で文字を音にする読み方が強くなり、かえって読むのが遅くなるからです。
私も速読を学ぶ前は、全部を理解しようと1文字ずつ読んでいました。1冊に3か月かかり、8割の本は途中で読むのをやめていたんです。
細かいところは忘れる前提で読む
この本は、忘れるのは当たり前だと言います。速読の考え方も、100%理解しても100%覚えていられるわけではない、というところから出発しています。
熟読しても、細かいところは時間がたてば消えていきます。だから速読では、後で消える細部に力を使うより、ずっと残る要点に力を使うんです。
全体を読んでから気になった箇所だけ読み直せばいいので、大事なところを取りこぼす心配もありません。



忘れたら読んだ意味がないって思っちゃいますよね。でも、本の細かいところまで全部覚えている人なんて、まずいないんです。
速く読むと理解が落ちるのではないかと気になる人は、速さと理解の関係をまとめた記事も見てみてください。


本の考えと速読の考えの違い
大きな違いは、この本は時間をかけて少しずつ読み続けることを勧め、速読は読み切るまでの時間を短くすることを勧める点です。読む目的も違います。
| 項目 | 『本は読めないものだから心配するな』 | 速読法GSR |
|---|---|---|
| 時間のかけ方 | 難しい本を少しずつでも読み続ける(著者インタビュー) | 読み切るまでの時間を短くして全体をつかむ |
| 読む目的 | 読むよろこび・世界を知ること(出版社の紹介文) | 仕事や生活に使う要点を取り出すこと |
| 忘れること | 当たり前なので心配しない | 忘れる前提で、残す要点を選ぶ |
| よく合う本 | 言葉そのものを味わう本 | ビジネス書・実用書・仕事の資料 |
時間のかけ方が反対
この本の著者は、難しい本と長くつきあうことを大切にしています。一方、速読では1冊を読み切るまでの時間を短くすることを大切にします。
1冊を何週間もかけて読むと、後半を読むころには前半の内容が薄れていきます。読み切るまでの時間が長いほど、全体の話のつながりがぼやけてしまうんです。


だから速読では、一気に全体を読んで骨組みをつかみ、必要なところだけ後から読み直します。同じ忘れる前提でも、この本は気にせず読み続ける方向へ、速読は短い時間で全体をつかむ方向へ進むんです。
読む目的が違う
この本が大切にしているのは、本を読むよろこびと、本を通して世界を知ることです。出版社の紹介文には、読めば心の天気が変わる、という言葉もあります。
速読が目指すのは、読む前に決めた目的に合う要点を取り出すことです。たとえば会議の前に資料を開くなら、この資料から来週の判断に使う論点を1つ拾う、と決めてから読みます。
どちらが上という話ではありません。何のために読むのかが違うので、読み方も変わるんです。
読む本によって読み方を分ける
詩や小説、旅のエッセイのように言葉そのものを味わう本は、この本が勧めるようにゆっくり読む方が向いています。速読はこうした本を速く読むためのものではありません。
速読が力を発揮するのは、ビジネス書や実用書や仕事の資料のように要点を取り出して使う文章です。


丁寧に読む精読と速読の使い分けは、場面ごとにまとめた記事があります。


読み切れない仕事の本は読む速さで減らせる
心配しなくていいと分かっても、仕事の本は読まないと困る場面がありますよね。そこで効くのが、要点を取り出す速さそのものを上げることです。
心配しなくても仕事の本は減らない
この本のおかげで後ろめたさが軽くなっても、読むべきビジネス書や資料が減るわけではありません。部下に勧められた本や取引先の業界の本、会議の資料と、仕事で読むものは次々に増えていきます。
私も高校教師だったころは本屋に行くたびに読まない本を何冊も買い、読まないといけないという声にずっと悩まされていました。その声が消えたのは、読み方を変えてからです。驚くくらいの開放感がありました。
読み切れない本がたまる理由を、もう少し掘り下げてみましょう。
- 全部を均等に理解しようとして、1冊に時間がかかる
- 頭の中で文字を音にして読むので、声に出せる速さが上限になる
- 時間がかかるので、読み終える前に次の本が届く
つまり、本が読み切れない根っこにあるのは、気持ちの問題だけでなく読み方そのものなんです。心配しないことは気持ちを軽くしてくれますが、読み方を変えれば、読み切れない本そのものを減らせます。
買った本が読めずに積み上がる心理については、別の記事で詳しくまとめています。


速読法GSRは要点を取り出す速さを上げる
速読法GSRは、無理をして速く読む方法ではありません。普段ラクに読める速さを底上げし、読むゴールを要点に絞るという2つを組み合わせた読み方です。


- 頭の中の音読を減らし、文字を見て意味を取る読み方に慣れる
- 速いスピードで文字を見る練習をして、脳を速さに慣らす
- 読む前に目的を決め、全部ではなく要点をつかむ
100%理解したまま何倍もの速さで読める、という魔法ではありません。この本が言うように、忘れるのは当たり前です。そのうえで、仕事に使う要点だけは確実に持ち帰る。それが、GSRが教えている脳の使い方を変える読み方なんです。
読んだビジネス書を仕事に生かしたい人は、ビジネス書が仕事に生きない原因もあわせて読むと、読んだ後の動き方まで見えてきます。
1冊に何か月もかけていた受講生も要点を残せるようになった
6週間で学ぶGSRオンラインマスタースクールは、2026年4月時点で累計31期・1,215名が受講しています。
受講生の読書速度の成長率は、6週間で中央値20.68倍でした(出典:PR TIMES 2026年4月8日のプレスリリース)。
ただ、この記事で見てほしいのは速さよりも、忘れてしまう読み方がどう変わったかです。


速読とは、「結局アウトプットできないもの」と思っていました。受講後は、短時間で読み、本の要点を理解をしながらアウトプットできるようになりました。以前は1冊1〜2ヶ月かけて読んでも、全然記憶していなかったので大きな変化です。その結果、すきま時間を活用して副業の勉強と実践ができるようになり、本業と同じくらい稼ぐ事ができるようになりました。今では完全に会社を辞めて、楽しく働いています。
1冊に1〜2か月かけても内容を覚えていなかった人が、短い時間で読んで要点を理解し、アウトプットできるようになっています。時間をかけることより、要点をつかむ読み方に変えたことが効いているんです。



読めない自分を心配しなくていいのは本当です。そのうえで、仕事の本だけは読み方を変えて、さっと要点を持ち帰りましょう。
読み切れない本への後ろめたさを読み方で軽くしたいと思ったら、まずは無料の入門動画講座で要点をつかむ読み方を体験してみてください。動画を最後まで見ると、通常5,000円のGSRオンライン体験会にも無料で参加できます。
本は読めないものだから心配するなについてよくある質問
- 『本は読めないものだから心配するな』はどんな本ですか?
-
詩人で比較文学者の管啓次郎さんが、本を読むことと旅することについて書いたエッセイ集です。単行本は2009年に左右社から出て、2021年に筑摩書房のちくま文庫に入りました。出版社は、読書論であり、ブックガイドであり、世界を知るための案内書だと紹介しています。
- 本は読めないとはどういう意味ですか?
-
本を読んで忘れるのは当たり前で、内容を覚えていなくても、読めたと言えなくても心配しなくていい、という意味です。本に冊という単位はないという考えも示されていて、何冊読み終えたかで読書を数えない考え方が書名に込められています。
- 管啓次郎さんはどんな人ですか?
-
1958年生まれの詩人・比較文学者で、明治大学大学院の教授です。翻訳者としても活動していて、『斜線の旅』で読売文学賞を受けています。本を読むことと旅をすることを重ねて書く文章で知られています。
- 読んだ本の内容を忘れても本当に大丈夫ですか?
-
細かいところを忘れるのは当たり前なので、心配しなくて大丈夫です。ただ、仕事で読む本は、使う要点だけは残したいですよね。読む前に目的を1つ決め、読み終えたら本を閉じて要点を1〜2行書き出すと、忘れても困らない形で手元に残ります。
- 速読はこの本の考えと矛盾しませんか?
-
全部を完ぺきに読もうとしない点では、矛盾しません。違うのは時間のかけ方で、この本は難しい本と長くつきあうことを、速読は読み切るまでの時間を短くすることを勧めます。味わう本はゆっくり、仕事の本は速読で要点を取り出す、と使い分ければ両立できます。
- 積読があっても心配しなくていいですか?
-
この本の考え方に立てば、読めていない本があることを心配する必要はありません。ただ、仕事で読む必要がある本がたまって困っているなら、気持ちの問題ではなく読み方の問題です。要点から読む読み方に変えると、1冊にかかる時間が短くなり、たまる本も減っていきます。
この悩みの全体像は「リーダーシップのおすすめ本9選」にまとめています。あわせて「経営者のおすすめ本9選」「管理職になったら読む本おすすめ7選」も読まれています。
まとめ
『本は読めないものだから心配するな』は、本を読んで忘れるのは当たり前で、読めたと言えなくても心配しなくていいと伝える読書のエッセイ集です。
- 管啓次郎さんの本で、単行本は2009年に左右社から、文庫版は2021年に筑摩書房から出ている
- 要点は、忘れるのは当たり前、本に冊という単位はない、難しい本も少しずつ読み続ける、の3つ
- 速読とは、全部を完ぺきに読まない・細部は忘れる前提、という点で共通している
- 違うのは時間のかけ方と目的で、味わう本はゆっくり、仕事の本は速読で要点を取り出すのが合う
読めない自分を責めなくていい、というこの本の考えは、仕事で本を読む大人にとっても大きな支えになります。
そのうえで、読まなければいけない仕事の本が積み上がっているなら、心配するより読み方を変える方が早いんです。今日のうちに、下のボタンから無料の入門動画講座を受け取って、要点を取り出す読み方を体験してください。













