前頭葉の機能低下の原因が気になって調べてみたら、出てくるのは病院のページばかりで、余計に不安になったってことありませんか?
会議資料を読んでいても集中が続かなかったり、決めなきゃいけないことを先送りにしたり、部下の小さなミスにイライラしたり。40代になって、前頭葉の衰えは始まっているという話を聞くと、もう年のせいなのかと思っちゃいますよね。
でも、前頭葉の働きを落とす原因は年齢だけではありません。
前頭葉は年齢とともにゆるやかに衰えます。でも研究を見ると、睡眠不足・続くストレス・決まった作業の繰り返し・運動不足という生活の4つの原因で、働きが大きく落ちることが分かっています。
しかも、ストレスで落ちた働きは1か月で戻ったという研究もあるんです。
この記事では、病気の話ではなく、毎日の生活の中で前頭葉の働きを落としている4つの原因と、今日からできる戻し方を、確かめた研究とあわせて紹介します。
この記事の執筆・監修
浦地純也(しゃっく)
速読メソッド「GSR」講師 / 株式会社ManaBeラボ 代表取締役

- 株式会社ManaBeラボ代表取締役
- 中学校、高等学校理科教員免許
- 国際ジェネラティブチェンジ協会ジェネラティブトランス修了資格
- カリフォルニア大学発祥の心理学指導者資格
2013年、高知大学で理科教員免許を取得し、公立の高等学校で2年間理科教師として働く。その後速読に感銘を受け愛知県で速読教室と学習塾を開校。
その後、スタンフォード大学心理学博士のギリガン先生と出会い、「瞑想状態×速読」を用いた新しい速読メソッド【GSR(Generative Speed Reading)】をワールドクラスパートナーズ株式会社と開発。
2019年には、「人生を変える速読法 GSR」を出版。2025年までの10年間で44,000人以上への速読指導の実績。現在もオンラインで全国の人々へ向けて活動中。
前頭葉が衰えると仕事のどこに出るか

前頭葉の衰えは、集中が続かない、段取りが組めない、決めきれない、感情を抑えにくいという形で仕事に出ます。
前頭葉は、目の前のことに注意を向け続けたり、先の計画を立てたり、カッとなった気持ちにブレーキをかけたりする場所だからです。
前頭葉の中でも額のすぐ後ろにある前頭前野は、計画・集中・持続をコントロールする、脳の司令塔のような部分です。
仕事の場面に置きかえると、次のようになります。
| 仕事の場面 | 前頭葉の仕事 |
|---|---|
| 会議資料を最後まで集中して読む | 注意を1つのことに向け続ける |
| 締め切りから逆算して段取りを組む | 先の計画を立てる |
| 複数の案から1つに決める | 情報を比べて判断する |
| 部下のミスに声を荒らげない | 感情にブレーキをかける |
最近この4つのどれかが前よりうまくいかないと感じるなら、前頭葉の働きが落ちているサインの可能性があります。ただ、それは前頭葉が壊れたという意味ではなく、多くは働きにくい状態が続いているということなんです。
集中が続く時間の目安や、集中が切れたときの戻し方は、こちらの記事にまとめています。

前頭葉の機能低下の原因は年齢より生活にある

前頭葉の機能低下には年齢の影響もありますが、同じ年齢でも衰え方には大きな差があります。その差を生むのが、睡眠・ストレス・決まった作業の繰り返し・運動不足という生活の4つの原因です。
年齢の影響から見ておきましょう。アメリカの研究で、健康な大人の脳の大きさを5年間追いかけたところ、前頭前野を含む考える働きを受け持つ部分が縮んでいました。
さらに、前頭前野の神経の線維が通る部分(白質)は、年齢が上がるほど縮み方が大きくなっていました(Raz et al., 2005, Cerebral Cortex)。
ただ、同じ研究で、縮み方には人によって大きな差があることも分かっています。つまり、年齢だけで前頭葉の働きが決まるわけではないということです。
しゃっく年齢は変えられませんが、生活は今日から変えられます。だから原因を知っておく意味があるんですよね。
睡眠不足は前頭葉のブレーキを弱める
睡眠が足りないと、前頭葉が感情にかけるブレーキが弱まり、イライラしやすく、冷静な判断がしにくくなります。
アメリカのカリフォルニア大学バークレー校の研究では、健康な26人を2つのグループに分けました。約35時間起き続けるグループと、普通に眠るグループです(Yoo et al., 2007, Current Biology)。
起き続けたグループは、嫌な画像を見たときに不安や怒りを生む扁桃体の反応が60%以上強くなっていました。そして、扁桃体を抑える前頭前野とのつながりが弱まっていたんです。
つまり、寝不足の日にイライラしやすいのは、性格の問題ではなく、前頭葉のブレーキが効きにくくなっているからなんです。徹夜明けほど極端でなくても、寝不足の翌朝に部下の報告へ必要以上に強く言ってしまったことはありませんか?
続くストレスは前頭葉の切り替えを鈍らせる
強いストレスが続くと、前頭葉が担う注意の切り替えがうまくいかなくなります。
前頭前野は、脳の中でもストレスの影響を最も受けやすい部分だとされています(Arnsten, 2009, Nature Reviews Neuroscience)。
アメリカのコーネル大学などの研究では、1か月間強いストレスが続いた健康な大人20人に、注意を切り替える課題をしてもらっています(Liston et al., 2009, PNAS)。
ストレスが続いていた時期は、注意の切り替えが落ち、前頭葉と頭頂部をつなぐネットワークの働きも乱れていました。ところが、ストレスが減った1か月後には、ストレスの少ない人たちと差がなくなっていたんです。
前頭葉の働きは、ストレスで落ちても戻せるということです。案件が重なって頭が切り替わらない時期があっても、それはずっと続く衰えとは限りません。
決まった作業の繰り返しでは前頭葉の出番が減る
毎日同じ手順の作業と、受け身で見る画面だけで1日が終わると、前頭葉が新しい状況に対応する出番が減ります。前頭葉は、慣れない場面で考えたり、計画したりするときによく働く場所だからです。
脳は長い時間同じことを続けるほど省エネモードに入り、知っている情報だけで処理しようとします。40代になって仕事に慣れるほど、考えなくても回せる作業が増えていきますよね。
アメリカのテキサス大学ダラス校の研究では、高齢者に新しい技能を3か月間学んでもらいました。キルト作りやデジタル写真を、週に平均約16.5時間です(Park et al., 2014, Psychological Science)。
その結果、新しい技能を学んだ人は、仲間との交流や家でできる軽い作業をした人よりも、記憶の力が伸びていました。新しいことに頭を使う時間そのものが、脳の働きを保つ材料になるということです。
受け身の時間の代表がスマホです。脳科学者の毛内拡さんは、通知やショート動画を受け身で見る時間と、自分で選んだ本を読む時間とでは、脳の使われ方がまったく違うと話しています。


体を動かさない生活は前頭葉の維持に不利になる
体を動かさない生活は、前頭葉を保つ点でも不利です。反対に、息が少し上がる運動を続けると、前頭葉の一部の大きさが増えたという研究があります。
アメリカのイリノイ大学の研究では、運動の習慣がない60〜79歳の59人を2つのグループに分けました。有酸素運動を6か月続けるグループと、ストレッチなどを続けるグループです(Colcombe et al., 2006, The Journals of Gerontology)。
有酸素運動のグループだけ、前頭葉の一部を含む脳の大きさが増えていました。ストレッチのグループでは増えていません。デスクワークで1日座りっぱなしの日が続いているなら、そこも前頭葉の働きに関わっているんです。
なお、物忘れが急に増えた、人柄が変わったと周りから言われる、仕事や生活に支障が出ている、というときは、生活の原因とは別の病気が隠れていることもあります。
その場合は、ひとりで判断せず、かかりつけ医やもの忘れ外来などの医療機関に相談してください。
前頭葉の働きを取り戻す4つの生活の整え方
前頭葉の働きを取り戻すには、4つの原因に1つずつ、小さな手当てをしていきます。全部を一度に変えなくて大丈夫です。


睡眠は6時間以上を確保する
1つ目は、睡眠を6時間以上とることです。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人は6時間以上を目安に睡眠時間を確保するよう勧めています(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」)。
必要な睡眠時間には個人差があるので、日中に眠気が強い日や、朝起きても休めた感じがしない日が続くなら、もう少し長く眠る必要があるサインです。
まずは寝る時刻を30分だけ早めて、寝る前に仕事のメールを開かないところから始めてみてください。
ストレスは紙に書き出して頭の外に出す
2つ目は、頭の中でぐるぐるしている心配ごとを、紙に書き出すことです。
返事を待っている取引先の件とか、来週のプレゼンのこととか、頭の中で何度も考えていることってありますよね。書き出してしまえば、忘れないように持ち続ける必要がなくなり、頭の中に余裕が戻ります。
書き出したら、ゆっくり息を吐く呼吸を3回してから、目の前の仕事に戻ってください。考えごとが止まらない状態が続くときの整え方は、こちらで詳しく紹介しています。


週に1つ新しいことを試す
3つ目は、週に1つだけ、いつもと違うことを試すことです。
大きな挑戦である必要はありません。
- 通勤で1駅手前で降りて、知らない道を歩く
- いつもは手に取らない分野の本を1冊読む
- 部下に任せていた資料を、自分で1から組み立ててみる
慣れない場面では、どう動くかを考えて計画する前頭葉の出番が増えます。週に1つなら、忙しい時期でも続けられますよね。
早歩きで息が少し上がる運動をする
4つ目は、息が少し上がるくらいの早歩きを、生活の中に入れることです。
ジムに通わなくても、昼休みに10分早歩きをする、エレベーターではなく階段を使う、といった形で十分です。運動の研究で前頭葉の一部が増えたのは、ストレッチではなく有酸素運動のグループでした。



4つ全部をいきなり完璧にやらなくていいんです。いちばんできそうなものを1つ選んで、今週だけ試してみてください。
脳の働きを上げる習慣は、ほかにも食事や人との会話などがあります。


忙しい40代ほど前頭葉の衰えの原因が重なる理由
忙しい40代ほど4つの原因が重なるのは、仕事で受け取る情報を時間内に処理しきれず、その分を睡眠と余裕から削っているからです。
4つの整え方を読んで、それができる時間があればとっくにやっている、と思った方も多いんじゃないでしょうか。
読み切れない資料が睡眠と余裕を削る
40代になると、読まなければいけない資料・報告書・メールの量が一気に増えます。日中に読み切れなかった分は、家に持ち帰って夜に読むことになりますよね。
その結果、4つの原因が次のようにつながっていきます。
- 夜まで資料を読むので、睡眠が削られる
- 読み切れていない仕事が頭に残り、ストレスが続く
- 余裕がないので、慣れたやり方を繰り返すしかなくなる
- 体を動かす時間が真っ先に消える


前頭葉の働きが落ちると、集中が続かず読むのにさらに時間がかかります。こうして、読み切れない情報から始まる悪循環ができてしまうんです。
4つの原因の根っこは情報を処理する速さ
4つの原因は別々に見えますが、40代の仕事では、根っこにあるのは情報を受け取って処理する速さが量に追いついていないことです。
あなたの頭の働きが足りないのではありません。読む量は20代の頃より大きく増えたのに、読み方は学生の頃に習ったまま変わっていないんです。
紹介した4つの1手は、今日から効きます。でも、読み切れない情報が毎日やってくる限り、睡眠も余裕もまた削られていきます。
もし同じ資料を半分の時間で読めたら、夜に持ち帰る仕事が減り、その時間を睡眠や運動や新しいことに回せますよね。処理する速さを変えることは、4つの原因にまとめて効く手当てなんです。



前頭葉の話をしていたのに読む速さの話?って思いますよね。でも、40代の生活を崩している入口は、たいてい読み切れない資料なんです。
情報を処理する速さを変える「速読法GSR」
情報を処理する速さそのものを変えたいなら、読み方を変えるのがいちばんの近道です。私が教えている速読法GSRは、脳を集中した状態に整えてから、頭の中の音読を減らして速く読む方法です。
ここで、なぜ速読の話になるのかをお伝えさせてください。仕事で受け取る情報の多くは、資料やメールのような文字です。文字を処理する速さが上がれば、情報に追われる時間そのものが縮みます。
速読と聞くと、ページを飛ばして読む方法を想像しますよね。
でもGSRは、脳の使い方を変える読み方のトレーニングで、読む前の脳の状態づくりを大事にしています。だから、前頭葉が働きにくい状態のまま無理に速く読む方法とは違うんです。


読む前に脳を落ち着いた集中状態に整える
GSRでは、読み始める前に、深くリラックスしながら集中している脳の状態を短い時間で作ります。
続くストレスで前頭葉が働きにくいとき、そのまま資料に向かっても、同じ行を何度も読み返すだけになりがちです。読む前に呼吸を整えて頭の中のざわつきを静めると、目の前の文章に注意を向けやすくなります。
この状態の作り方は、資料を読む前だけでなく、会議の前や大事な判断の前にもそのまま使えます。
頭の中の音読を減らして速く読む
もう1つの柱は、頭の中で文字を声にして読むクセを減らし、文字を見て意味を取る読み方に変えることです。
多くの人は、子どもの頃に音読で習った読み方のまま、頭の中で1文字ずつ声にして読んでいます。この読み方だと、読む速さは声に出せる速さまでしか上がりません。
頭の中の音読が減ると、同じ資料を読む時間が縮みます。その分を、睡眠や運動や新しいことに使えるようになるんです。
読み方は生まれつきの能力ではなく、子どもの頃から続けてきた習慣なので、40代からでも変えられます。
前頭葉の働きを取り戻したいなら、生活の4つの整え方とあわせて、毎日の情報を処理する速さも変えてみてください。
無料の入門動画講座で、整えてから速く読む読み方を体験できます。動画を最後まで見ると、通常5,000円のGSRオンライン体験会にも無料で参加できます。
前頭葉の機能低下についてよくある質問
- 前頭葉の機能低下の原因は何ですか?
-
年齢の影響もありますが、生活の中では睡眠不足・続くストレス・決まった作業の繰り返し・運動不足の4つが大きな原因です。健康な大人の脳を5年間追いかけた研究でも、前頭葉の衰え方には人によって大きな差がありました。生活の4つは、今日から変えられる原因です。
- 前頭葉の衰えは40代から始まりますか?
-
前頭葉を含む考える働きを受け持つ部分は、年齢とともにゆるやかに縮み、年齢が上がるほど縮み方も大きくなります。ただ衰え方の個人差は大きく、40代で集中が続かないと感じる多くは、睡眠不足やストレスなど生活の原因が重なっている状態です。
- 前頭葉の働きが悪いと感じたら、もう戻らないのでしょうか?
-
戻せます。1か月強いストレスが続いて注意の切り替えが落ちた人も、ストレスが減った1か月後には、ストレスの少ない人と差がなくなっていたという研究があります。睡眠を6時間以上とるなど、原因に合わせて生活を整えることから始めてください。
- 寝不足だとイライラするのは前頭葉と関係がありますか?
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あります。約35時間起き続けた人は、不安や怒りを生む扁桃体の反応が60%以上強まり、それを抑える前頭前野とのつながりが弱まっていました。寝不足の日にイライラしやすいのは性格ではなく、前頭葉のブレーキが効きにくくなっているからです。
- 前頭葉の機能低下が心配なときは病院に行くべきですか?
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物忘れが急に増えた、人柄が変わったと周りから言われる、仕事や生活に支障が出ている場合は、医療機関に相談してください。かかりつけ医やもの忘れ外来などで相談できます。生活の原因だけで判断せず、気になる変化は早めに専門家に見てもらうのが安心です。
- 本を読むことは前頭葉に良いですか?
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自分で選んだ本を集中して読む時間は、通知やショート動画を受け身で見る時間とは脳の使われ方が違う、と脳科学者の毛内拡さんは話しています。読み切れない資料に追われているなら、読み方を変えて読む時間を縮めることで、睡眠や運動の時間も確保しやすくなります。
この悩みの全体像は「前頭葉を鍛える方法」にまとめています。あわせて「脳の老化を防ぐには?50代から研究でわかった生活習慣と3つの頭の使い方」「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」も読まれています。
まとめ
前頭葉の機能低下の原因は、年齢だけではありません。
- 前頭葉の衰えは、集中・段取り・判断・感情のブレーキの弱まりとして仕事に出る
- 年齢による衰えには大きな個人差があり、その差を生むのは生活の4つの原因
- 睡眠不足・続くストレス・決まった作業の繰り返し・運動不足が前頭葉の働きを落とす
- ストレスで落ちた働きが1か月で戻った研究もあり、前頭葉の働きは戻せる
- 忙しい40代では、読み切れない情報が4つの原因をまとめて引き起こしている
前頭葉の働きが落ちたと感じても、あなたの頭が衰えきったわけではありません。働きにくい生活が続いていただけです。
今日はまず、寝る時刻を30分だけ早めてみてください。
そのうえで、毎日の資料やメールに追われる生活から抜け出して、睡眠と余裕を取り戻したいと思ったら、迷わず無料の入門動画講座を受け取ってください。読み方が変われば、前頭葉が働きやすい生活を取り戻す時間が生まれます。













