電子書籍だと頭に入らないのはなぜ?研究でわかった原因と画面でも残る3つの読み方

電子書籍だと頭に入らないのはなぜ?研究でわかった原因と画面でも残る3つの読み方

出張帰りの新幹線で、Kindleに入れていたビジネス書を最後まで読み切った。なのに翌週の会議であの本どうだった?と聞かれて、ひとことも出てこなかったってことありませんか?

紙の本で読んでいた頃は、ここまで抜け落ちなかった気がするんですよね。最近は社内の資料もPDFを画面で読むことが増えて、目は通したのに何も残っていない感覚がずっと続いている。

それで年齢のせいかな、集中力が落ちたのかなって自分を責めちゃうんですよね。

でも、原因はあなたの頭ではありません。画面で読むときの読み方のほうにあるんです。

この記事では紙と画面の違いを調べた研究で分かっていることと、電子書籍やスマホのままでも内容が頭に残る3つの読み方を紹介します。

目次
ManaBeラボ 浦地純也
  • 株式会社ManaBeラボ代表取締役
  • 中学校、高等学校理科教員免許
  • 国際ジェネラティブチェンジ協会ジェネラティブトランス修了資格
  • カリフォルニア大学発祥の心理学指導者資格

2013年、高知大学で理科教員免許を取得し、公立の高等学校で2年間理科教師として働く。その後速読に感銘を受け愛知県で速読教室と学習塾を開校。

その後、スタンフォード大学心理学博士のギリガン先生と出会い、「瞑想状態×速読」を用いた新しい速読メソッド【GSR(Generative Speed Reading)】をワールドクラスパートナーズ株式会社と開発。

2019年には、「人生を変える速読法 GSR」を出版。2025年までの10年間で44,000人以上への速読指導の実績。現在もオンラインで全国の人々へ向けて活動中。

▶ 講師プロフィールを詳しく見る

電子書籍が頭に入らないのは気のせいではない

紙と画面の理解を比べた54件の研究で紙のほうが理解が高かったことを示す図

紙と画面で読んだときの理解を比べた研究でも、仕事の本のような説明的な文章は画面で読むほうが理解が下がりやすいと分かっています。

あなたが感じている読みにくさは、ちゃんと研究にも表れているんです。ただしそれは、あなたの能力が落ちたという意味ではありません。

紙より画面のほうが理解は下がりやすい

これまでの研究をまとめて見ると、同じ文章でも紙で読んだほうが内容の理解は高くなっています。

スペインのバレンシア大学などの研究チーム(デルガドら、2018年)は、2000年から2017年に発表された54件の研究をまとめて分析しました。対象はのべ17万人以上です。

複数の研究を束ねて全体の傾向を見る、メタ分析と呼ばれる方法です。

結果は、紙で読んだほうが画面で読むより理解度が高いというものでした(出典:Educational Research Review, 2018)。

1件だけの実験なら偶然もありえますが、これだけの数をまとめても同じ傾向が出ているんです。つまり、画面だと頭に入りにくいと感じるのは気のせいではないということです。

差が出やすいのは仕事で読む説明的な文章

同じ研究では、どんな読み方のときに差が大きくなるかも調べています。差がはっきり出たのは、説明的な文章を読むときと時間に制限があるときでした。

読む条件紙と画面の差
説明的な文章(ビジネス書・報告書・解説記事など)紙のほうが理解が高い
物語だけの文章(小説など)差は見られなかった
時間に制限がある読み方差が大きくなる
自分のペースで読む読み方差は小さくなる

小説ならKindleでも楽しめるのに、ビジネス書や会議資料だと頭に入らない。そんな感覚があるなら、まさにこの結果のとおりなんです。

会議の前の15分で資料に目を通すとか、移動中に1章だけ読むとか、仕事の読み方はたいてい時間との勝負ですよね。働く人が画面で読むものには、差が出やすい条件がそろっているんです。

画面に慣れても差は縮まっていない

画面で読むことに慣れれば差はなくなる、とは言えないのがこの研究のもう1つの発見です。発表された年が新しい研究ほど、紙の有利さはむしろ大きくなっていました。

タブレットやスマホが当たり前になった今でも、差は縮まっていないんです。若い世代ほど画面で読むのが得意、という結果にもなっていません。

しゃっく

画面に慣れていない自分が悪い、ではないんですよね。毎日スマホを触っている人にも同じことが起きているんです。

だから、画面で頭に入らないのを年齢や頭の衰えのせいにする必要はありません。媒体の違いで起きていることなので、理由が分かれば手が打てます。

スマホを触る時間が増えて本そのものに集中が続かなくなったと感じている場合は、原因が少し違います。

画面で読むと頭に入らない原因は全体の地図がないこと

紙の本は手と目が地図をつくり画面では地図なしで読むことを示す図

原因は、紙なら手と目で自然につかめていた今どこを読んでいるかという感覚が画面では消えて、全体の地図を持たないまま読むことになるからです。

知らない街を地図なしで歩くと、角を曲がるたびに今どこだっけと確かめることになりますよね。電子書籍を読んでいるとき、頭の中ではこれと同じことが起きているんです。

画面では本のどのあたりを読んでいるかが分からない

画面で読んでいると、いま本の前半なのか終盤なのか、あの話がどのあたりに出てきたのかが体の感覚としてつかめません。

紙の本を思い出してみてください。右手側の厚みが減っていくのを指で感じたり、あの話は左ページの上のほうにあったなと場所で覚えていたりしませんでしたか?

紙では、手と目が勝手に地図をつくってくれていたんです。電子書籍になると、その手がかりが画面の隅の数字だけになってしまいます。

これを確かめた研究があります。ノルウェーのスタヴァンゲル大学のアン・マンゲンらは2019年、50人に約1時間かかるミステリー短編を、Kindleか紙の文庫本で読んでもらいました。

内容を問うテストのほとんどでは差がありませんでした。ところが出来事が起きた順番を並べ直すテストでは、紙で読んだ人のほうが成績が上だったんです(出典:Frontiers in Psychology, 2019)。

研究チームは、Kindleでは手に伝わる手がかりが少なく、出来事が本のどこにあったかを位置づけにくいからだと説明しています。つまり画面では、話の中身は追えても話と話の位置関係がつかみにくいということです。

Kindleと紙の文庫本で読み比べた研究で出来事の順番だけ紙が上だった図
しゃっく

あの話は真ん中より後ろの右ページにあったなって、紙だと覚えていますよね。あれも立派な地図なんです。

スクロールすると読んでいる位置を見失う

スマホやPDFのように上から下へ流して読む形だと、読んでいる位置をさらに見失いやすくなります。

2009年にはアメリカの研究者2人が、スクロールの影響を調べています。アリゾナ州立大学のクリストファー・サンチェスとイリノイ大学シカゴ校のジェニファー・ワイリーです。

2人は同じ長い文章を、スクロールで読む形と1ページずつめくる形で読み比べてもらいました。

すると、スクロールで読んだ人のほうが複雑な内容の理解が下がっていました。とくに下がり方が大きかったのは、ワーキングメモリの容量が小さい人だったんです(出典:Human Factors, 2009)。

ワーキングメモリは、読んだ情報を一時的に置いて意味を組み立てる脳の作業机のような場所です。研究者たちは、作業机の小さい人ほどスクロールで読む位置を見失いやすいからだと考えています。

スクロールで読むと作業机が位置の確認に取られる図

今どこだっけと確かめる作業が作業机に乗ると、そのぶん本の内容を置いてつなぎ合わせる場所が狭くなります。作業机が埋まると文章が入ってこなくなる仕組みは、紙でも画面でも共通です。

地図がないと細部が全体につながらない

地図がないまま読むと、1つ1つの段落は分かったのにそれが全体のどこにどうつながるのかが分からないまま終わってしまいます。

読み終えたあとに何の本だったか説明できないのは、この状態なんですよね。細かい話は読んだのにそれを並べる地図がないので、ばらばらのまま頭から抜けていきます。

しかも仕事の読み方は時間との勝負なので、地図がないまま急いで読むことになります。最初の研究で、時間に制限があると差が広がっていたのもうなずけますよね。

ここまでの紙と画面の違いを表にまとめておきます。

位置の手がかり紙の本電子書籍・スマホ
全体のどこにいるか残りの厚みを指で感じる画面の隅の数字だけ
ページの中のどこか左右のページと上下の位置で覚える文字の大きさで行の位置が変わる
前に戻るときパラパラめくって探せる検索やスクロールで探す
読んでいるときの頭位置の確認を手と目に任せられる位置の確認に頭を使う

電子書籍でも頭に入る読み方に変える3つの手順

紙に戻さなくても読む前に全体の地図を自分で作ってから読めば、画面でも内容は残ります。紙では手がやってくれていたことを、読み方で補うんです。

電子書籍でも頭に入る3つの手順の図

どの手順もKindleやスマホ、仕事のPDFでそのまま使えます。

読む前に目次で地図を作る

1つ目は、本文を読む前の2分で目次を開いて全体の地図を作ることです。

電子書籍は開くと続きのページから始まるので、目次を見ないまま読み始めがちですよね。Kindleならメニューから目次を開けます。

見るのは次の2つだけです。

  • 目次:どの章で何の話をしているかをざっくりつかむ
  • はじめにとおわりに:著者がいちばん言いたい結論を先に知る

先に結論と章の並びを知っておくと、今読んでいる段落が全体のどこにあるのかが分かるようになります。画面の隅の数字も、地図の上の現在地として意味を持ち始めるんです。

しゃっく

え、目次を見るだけ?って思いますよね。紙の本ならパラパラ眺めて自然にやっていたことを、画面では意識してやるだけなんです。

地図の中で目指す章を1つ決める

2つ目は、目次で作った地図の中で今日いちばん読みたい章を1つだけ決めることです。

この本から来週の会議で使えるヒントを1つ見つける、のように目的を1つ決めると、目次のどの章に向かえばいいかが見えてきます。目的が決まると、脳は関係する情報を拾いながら読むようになるんです。

ポイントは1つだけにすることです。あれもこれもと欲張ると、地図の上で行き先が散らばってしまいます。

最初から順番に全部を読まなくても大丈夫です。目指す章から読んで、必要になったら前の章に戻ればいいんです。

章の終わりに地図を1行書き足す

3つ目は、章を読み終えるたびに画面から目を離してその章で何が分かったかを1行で書き出すことです。

スマホのメモでもノートでもかまいません。目次の章タイトルの横に、自分の言葉で1行ずつ書き足していくイメージです。

書いてみると、どこまで分かっていてどこが抜けているかがはっきりします。書けなかった章だけを読み直せば十分です。

1行ずつ書き足した目次は、あなただけの本の地図になります。あとで読み返すときも、この数行を見れば全体を思い出せるんです。

仕事の資料なら、PDFを開いたらまず見出しだけを拾って全体をつかみ、読み終えたら結論を1行メモすると置き換えれば同じように使えます。

速読法GRS入門講座 無料登録
速読法GRS入門講座

地図を先につかむ読み方が身につく速読法GSR

地図を先につかんで要点から読むという読み方そのものを身につけるのが、私が教えている「速読法GSR」です。この読み方が身につくと、紙でも画面でも内容が残るようになります。

ここで、なぜ速読の話になるのかを説明させてください。

紙の本では、手ざわりや厚みが地図づくりを手伝ってくれていました。逆に言えば紙で読めていた頃も、全体をつかんでから細部を読む読み方をしていたわけではないんです。手が補ってくれていたから、困らなかっただけなんですよね。

電子書籍で頭に入らなくなったのは、その補助がなくなってもともとの読み方がそのまま表に出てきたからです。だから問題は媒体ではなく、読み方の方にあります。

学校では1ページ目から順に丁寧に読むことは習っても、全体の地図を先につかんでから読む順番は習いませんでしたよね。教わっていないのに、できるはずがないんです。

しゃっく

なんで急に速読?って思いましたよね。速読と聞くと飛ばし読みを想像するかもしれませんが、私が教えているのは全体から読む順番そのものなんです。

さっきの3つの手順は今日から効きます。ただ、毎回意識してやり続けるのは大変ですよね。読み方の根っこを変えてしまえば手順を思い出さなくても、本にも資料にもメールにも効くようになります。

変えるのは媒体ではなく読み方であることを示す速読法GSRの図

GSRはページを飛ばして読む方法ではなく、脳の使い方を変えて速さと理解を両立させる読み方のトレーニングです。

速読法GSRは要点から読むので紙でも画面でも残る

GSRでは、読むゴールを全部の理解から要点の理解に切り替えます。まず要点と全体の骨組みをつかみ、細かいところは必要になったときに読みにいきます。

骨組みを先につかむのは、さっき目次でやった地図づくりそのものです。GSRでは、これを毎回意識しなくても自然にできるように6週間かけて身につけていきます。

これは、100%理解したまま何倍もの速さで読めるという魔法ではありません。全部を均等に読んでもあとで忘れてしまう細部より、残る要点に力を使う読み方なんです。

地図が頭の中にあれば、手ざわりの手がかりがない画面でも今どこを読んでいるかを見失いません。

頭の中の音読を減らして全体をつかむ余裕をつくる

もう1つの柱が、頭の中で文字を音にしながら読むクセを減らすことです。

文章を読むとき、心の中で声に出して読んでいませんか? これを「内声化」といって、作業机の一角をずっと占領してしまうんです。声に出せる速さでしか読めなくなるうえに、全体をまとめる余裕も削られます。

GSRでは文字を見て意味を取る読み方に慣れ、速いスピードで文字を見る練習で脳を速さに慣らしていきます。作業机に余裕ができると、位置の確認と内容の理解を同時にこなせるようになります。

頭の中の音読は、止めようと力むほどかえって増えてしまうクセなんです。

読んでも残らない状態を抜け出した受講者の声

読み方を変えて、読んでも残らない状態を抜け出した受講生は実際にいます。

6週間で学ぶGSRオンラインマスタースクールは、2026年4月時点で累計31期・1,215名が受講しています。

受講生の読書速度の成長率は、6週間で中央値20.68倍でした(出典:PR TIMES 2026年4月8日のプレスリリース)。

ただ、私がいちばん伝えたいのは速さの数字ではありません。読んだ内容が残るようになった、という声を見てください。

受講者の声_伊藤さん

受講者の声_本図木綿子さん

2人に共通しているのは、速くなったことより読んだ内容を自分の言葉で説明できるようになったことです。全体をつかんでから読み、読んだら取り出す順番が身についたから内容が残るようになりました。

電子書籍で頭に入らないと感じている今が、読み方を変えるいちばんのタイミングです。

まずは無料の入門動画講座で、全体から要点をつかむ読み方を体験してみてください。動画を最後まで見ると、通常5,000円のGSRオンライン体験会にも無料で参加できます。

速読法GSR入門講座動画はこちら。最後まで視聴して頂いた方限定で通常5,000円のオンライン体験会が無料になります

電子書籍が頭に入らない悩みについてよくある質問

電子書籍だと頭に入らないのは自分だけですか?

いいえ、あなただけではありません。54件・のべ17万人以上の研究をまとめた2018年のメタ分析でも、説明的な文章は紙より画面で読むほうが理解が下がりやすいと報告されています。年齢や能力の衰えではなく、画面では全体の地図がつかみにくいという読み方の条件で起きていることです。

電子書籍が頭に入らないことについて、研究ではどんなことが分かっていますか?

主に3つです。紙のほうが理解が高く、時間に制限があると差が広がること(デルガドら、2018年)。Kindleだと出来事の順番を並べ直すのが苦手になること(マンゲンら、2019年)。スクロールで読むと複雑な内容の理解が下がること(サンチェスとワイリー、2009年)。どれも位置や全体のつかみにくさにつながっています。

スマホで読むと頭に入らないのはなぜですか?

上から下へスクロールして読むので、今どこを読んでいるかを見失いやすいからです。位置を確かめる作業が脳の作業机を使ってしまい、内容をつなげる余裕が減ります。読む前に見出しだけを拾って全体をつかんでから読むと、スマホでも頭に入りやすくなります。

紙の本に戻したほうがいいですか?

必ずしも戻す必要はありません。契約書や数字の資料のように細部まで正確に読みたいものは、紙に印刷するのも1つの手です。ただ出張や通勤では電子書籍が便利ですよね。目次で地図を作り、章ごとに1行書き足す読み方に変えれば、画面のままでも内容は残ります。

電子書籍でも速読はできますか?

はい、できます。速読法GSRは全体の地図をつかんで要点から読む読み方なので、電子書籍でも使えます。ただ練習の段階では、ページをめくる手の感覚も使える紙の本のほうが効果が出やすいので、私は紙の本での練習をおすすめしています。身についた読み方は画面でもそのまま使えます。

同じように読んでも頭に入らないことで悩んでいる方には、「オーディブルが頭に入らない理由」や「長文が読めない原因と読み方」の記事も読まれています。

まとめ

電子書籍が頭に入らないのは、あなたの頭のせいではありません。画面では全体の地図がつかめないまま読んでいるからです。

  • 研究でも、説明的な文章は紙より画面のほうが理解が下がりやすい
  • 画面では本のどのあたりを読んでいるかが分からず、スクロールでは位置も見失う
  • 読む前に目次で地図を作り、目指す章を1つ決め、章の終わりに1行書き足せば画面でも残る
  • 根っこは媒体ではなく、全体から読む順番を教わってこなかったこと

今日はまず次に開く電子書籍で、本文に入る前に目次を2分だけ眺めてみてください。

そのうえで、紙でも画面でも内容が残る読み方を根っこから身につけたいなら、迷わず無料の入門動画講座を受け取ってください。媒体を変えなくても、読み方を変えれば同じ画面の上で本は頭に入るようになります。

目次